「でも、今はなんとも思ってないし…ただの友達。翔ちゃんにも今は恋人いるし。
だけど、やっぱ、いい気分しないよね。ごめん、もう二人では会わない。」
「うん……、でも、別に…無理して会わないようにしなくてもいいんだぜ」
「ううん、それは、だめ。
潤くんが傷つくのは、嫌な思いするのは、やだから」
「カズ…」
きっぱりとそう言う、カズの表情に見惚れる。
横向きに寝ながら、俺にすがりつくように抱きついてくるカズは、
言葉で言うよりももっと俺に、気持ちを届けてくれてる気がした。
誰よりも……俺を、想ってくれているって…。
上になった腕を伸ばしてカズの頭を抱え込むようにして、撫でる。
隙間のないくらいくっついていたら、トクトクと響く鼓動まで溶け合って、同じリズムを刻みだすような気もする。
激しいセ ックスに速打ちしてた俺の鼓動も落ち着いて、いつもゆったりとしたカズの鼓動と混ざり合って一つのビートになっているのを、
目を閉じて感じる。
「大阪、いくの…?」
「うん……」
「どのくらい…?」
「わかんない、まだ正式な辞令が出てないから。でも翔ちゃんに…聞いたら、だいたいそういうのは2、3年で帰ってこれるみたいって言ってた」
俺にしがみつく手がきゅっと力を増す。
宥めるようにその手を撫でて、それから、チュッとその指にキスをした。
「じゃあ…、3年経ってカズが帰ってきたら、一緒に暮らそう」
「え……」
「俺と…結婚してくれる?」
は、ってカズは息を呑んで…
びっくりした顔で俺を見つめた。
「潤くん…男同士は……、結婚、できないんだよ?」
言いながらカズの目に涙が溜まってくるのを、綺麗だなって、思った。
「届けは出せなくてもさ…。俺は、カズと結婚したい」
「潤、くん…」
「好きだよ、カズ。もう、離したくない。だから…俺とずっと一緒に生きてくれる?」
薄い間接照明に照らされたカズの薄茶色の瞳が、キラキラと輝いている。
その目に溜まっていた涙の粒が、ぽろりとこぼれ落ちて、横になったカズの耳を濡らした。
「うん…うん、潤くん…。俺も…俺も、だよ」
抱きしめたカズの唇が、アイシテルって形に動いた。
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