さっきと寸分違わず丸くなったままの、布団をかぶった塊を、上から覆うように抱きしめる。
「カズ…、カズ、ごめん」
「……」
「ごめん、俺、知らなくて…。相談、乗ってやれなくてごめん」
もぞ、って塊が動いたから、背中のあたりを擦る。
「翔さんから聞いた。…転勤のこと」
撫でる手に触れる塊がピクッと動いたのが、伝わる。
「翔さんと飲んでるって聞いて、俺……。嫉妬した。妬いて、モヤモヤして。ごめんな、カズ」
「翔ちゃんめ……」
塊が、ポツリとつぶやいた。
「なあ、顔見せて?もう眠い?」
「酔いも覚めちゃったよ。あんな恥ずかしいことして、恋人にスルーされんだもん」
「ホント、ごめん……」
そっと布団をまくったら、今度はなんの抵抗もなくまくれて、カズのサラサラの髪が見えた。
後頭部にそっとキスをする。
そのキスに、カズが振り向いて、俺を睨みつけた。
目の縁が赤い。
その赤い目元にも、キスを落とした。
「ごめんな、カズ……」
「やだよ、許さない」
言葉とは裏腹に、カズは俺の首に両手を回して、そのままキスをしてきた。
入ってきた舌を受け入れて……、角度を変えながら貪った。
カズの口から漏れる吐息が耳をくすぐる。
そのまま、裸のままのカズの柔肌に手を滑らせた。
「話…聞くの、さっきの続きしてからで、いい…?」
「ばか……」
憎まれ口を叩くカズが、回した腕にぎゅっと力を入れるから…
俺も、もっと強く抱きしめた。