(side A)


嘘でしょ…。

オレは、今、途方に暮れている。

目の前のコレが現実だなんて、思えなくて…。

途方に暮れるオレの目の前で、ニノが、首をかしげて、それはそれは可愛く、ニコッと笑った。










今日は、レギュラー番組が終わったあと、前からずっと約束してて、でも延び延びになってた、ニノとメシ行く日で。


収録終わってから、いつもマッハの速さで着替えて帰るニノにさんざん急かされて、オレも慌てて楽屋を出て。


なんか楽屋で翔ちゃんが、忍者がどーのドッキリがどーのとブツブツ独り言言ってたのが気になったけど、とにかくいっそいで楽屋を出て、メシ行って、
もっと飲みたいね、ってオレんちに来て。


その時点でニノもオレも結構飲んでて、
ほら、外では気が張ってるから気づかないけど、うちに帰ってきたら急に酔いが回るってこと、あるでしょ?
そんな感じで、ふたりですっごく気分良くなっちゃってさ、
楽しくなっちゃってゲラゲラ笑いなから、ジュニアのころの話とかしてたら、ほら、あの振り覚えてる?みたいな話になって。



「覚えてるよー、覚えてるに決まってんじゃーん」


て言ってヘラヘラ踊りだしたオレだけど、案の定あやふやで、


「ばっか、違うだろー?」


ってこっちもヘラヘラしたニノが、ターンした途端、かなりの勢いでコケた。
すてーんて。
ごちん!て頭も打ったみたいですごい音がしたから、オレびっくりして!
いってー、って笑いながらニノが頭をさすってるから、見せて、って見てみたけど、たんこぶ出来てて、
大人になってたんこぶって!って笑って、
とりあえず保冷剤渡して冷やして、そんで寝たの。



















どこかで、泣き声がする…。
くすんくすんと、子どものような泣き声。
ぼーっとした頭が、だんだんハッキリしてきて、オレは目を覚ました。



「ニノ…?」


目を開けると、ベッドの端に、膝を抱えてうずくまるニノの後ろ姿。


「どうしたの…?」


体を起こして聞く。

振り向いたニノは、ポロポロと涙を流しながら、言った。



「ままは…?まま、どこー?」








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