拙作、「別れの曲」、「今までも、これからも。」のふたりの夜のお話です。











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(side A)



オレの店。green leaf。
今日は開店1周年の記念日で、常連さん含めたくさんのお客様が来てくれた。

嬉しくて、ありがたくて…


しかも。

遠くに住んでいて普段なかなか逢えないオレの恋人。
翔ちゃんも、駆けつけてくれた。

久しぶりのオレのごはんをうまいうまいって食べてくれて。

お腹いっぱいになって、オレんちへ帰ってきたんだ。






ドアを開けて、中に入る。
と。
閉まるよりも先に、うしろから抱きしめられた。

「しょうちゃ……」

慌てて振り向こうとする、顔を、抑えられて、キス。
パタン、とドアが閉まる音が聞こえた。

はじめから、息もつけないようなキスに、なんだか、体の力が抜ける。



「ちょっと……翔ちゃん、まって」

「待てない」

「ここ、玄関だから!」

「いいの」

「良くないよ、オレ、1日働いてシャワーも浴びてない、し」

「いいんだって」

「良くないよ!」



言いながら、体を翔ちゃんの方に向けられて、
するすると大きな手が体を撫でる。
首筋に、唇の暖かさを感じて、ビクッとした。


シャツのボタンが、知らぬ間に外されて、胸が外気に触れる。


「ちょっと、しょう、ちゃ」

「黙って」


喋ろうとする口を、キスで塞がれて。
なんだか頭の中がぼーっとしてきた……。




オレだって、会いたかったし。
こんなふうに、したかったから。
もう、どうでもいいって…流れに身を任せたいって…。



激しいキスの合間に、

「ねえ…翔ちゃん、ココじゃなくて、ベッド、いこ……?」


オレの言葉に、目を合わせた翔ちゃんは、一瞬驚いたような顔をして。
目の色が、変わった。


「お前…煽るの上手くなったな…」


カチン、とスイッチが入る音が、聞こえたような気がした。






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