おーちゃんは、目の前のご飯に集中して、黙々と食べ進めていく。
何も言わなくても、みるみるうちに消えていくご飯をみると、気に入ってくれてるんだって感じて、なんだか嬉しい。
厨房を片付けながら、その様子を目の端で見て、思う。
従兄弟でも、食べ方は違うんだな、って。
あのひとは……。
オレのご飯を、うまいうまいってなんども言いながら食べてくれる。
一口ごとに、あの大きな瞳を輝かせて。
口いっぱいに頬張るから、口元がパンパンに膨らんで、次第に、何言ってんのかわかんなくなる。
オレが、リスみたいになってるよ?って笑うと、彼も笑って。
時々、口からご飯が飛び出しちゃったりして。
慌てちゃうそんな様子も、可愛いんだ。
思い出して、ついニヤニヤしちゃう口元を、手で押さえた。
「ふーっ、ごちそうさま!」
箸を置いたおーちゃんに、お茶を渡してあげると、ぐーっと半分飲んで、ほうっ、と一息つく。
「やっぱり相葉ちゃんのメシは美味いなー!」
「ふふ、ありがとう」
しみじみ言ってくれるから、なんかくすぐったい。
「最近あいつ、来てる?」
ニノと同じことを聞いてくる。
「仕事、忙しいみたい。」
「今日は来るって?」
「うん、そう言ってたけどね…」
ちら、と時計を見る。
その今日も、あと1時間くらい。
「来てねーじゃん」
「たぶん、もうじき来るんじゃ、ないかな?」
慌ててフォローする、オレ。
だって、そうだといいなって思うから…。
「あいつも罪なヤツだなー。こんな相葉ちゃんをほっとくなんてなぁ」
「こんなって……」
「こんな綺麗な相葉ちゃん」
オレを見るおーちゃんの目は、真剣で。
「綺麗って……なにいってんの?」
「おれだったら、心配で、こんなところにひとりで置いといたりなんかしないけどな」
「心配って……」
「なあ、相葉ちゃん、おれにしとかない?」
「え……」
「おれだったら、こっちに住んでるからいつでも会えるし。ひとりになんかさせない。いつも一緒にいられる。だろ?」