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「まーくん、なんか、幸せそうじゃん」



そう言ってニノは、目をきゅるんとうるませながら、小首を傾げた。



「うん、店も順調だし、毎日充実してるよ」

「そうじゃなくてさ……」



アルコールで、白い肌をほんのり色付かせたニノが、目を伏せてグラスに口につける。





最近は、忙しくてなかなか会えないけれど、
時間を見つけてはうちの店に来てくれる、ニノ。



なんだか……。
なんていうか、男にこんなこと言うのも変なんだけどさ。

会う度に、なんだかニノの色気が、増しているような気がする。




「お前こそ、幸せそうじゃん」

「ふふ、何言ってんのよ」



照れ笑いしながら、ニノは、隣に座る潤くんを上目遣いで見上げる。


それに、目線を交わして、ちょっと微笑みながら同じようにグラスを傾ける姿が、ものすごく決まってて。
なんだかそこだけ、スポットライトが当たったみたいだった。




高校で知り合った松本潤くんと、ニノは、卒業後付き合いだして……
オレがこの街に帰ってきた頃から、一緒に暮らし出してる。



だからかな……。幸せが、滲み出しているようにも見えて。
なんだか嬉しいんだ。





「今日……来るんでしょ?」


くふふ、と笑ってニノが言う。


「うん……。」

「最近、会えてんの?」

「ううん……なんだか、忙しいみたいで。久しぶり、かな」

「そっか……。」



よかったじゃん、って微笑んで、2人は立ち上がった。



「じゃね、また来るね」

「うん!また、話聞かせてよ」

「こっちもだよ」



仲睦まじく並んで帰っていく背中を見て、嬉しさとほんのちょっと、羨ましさを感じて。


いいな。
同じところに帰れるんだな、って。

後ろ姿に、思ったりもして。









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