「ほら、また。たーめーいーき。」


放課後。図書室。潤と勉強中。

結局、あのあとピアノ部屋に行く勇気は出ていない。
行かなくなって1週間、ほぼ毎日のように通っていたくせに、急に行かなくなった俺を、雅紀はどう考えているのかな…。

クラスでは、会話のない俺達。
何となく、困ったような顔でこっちを見ていた…ような気もするし、
全然関係なく友だちの輪の中で笑っていた…ような気もする。



それと。

意識して見てみると、雅紀は、ほんっとうに二宮と…あのとき、雅紀が『ニノ』って呼んでいた男と一緒に居る。

クラスは違うから、授業中は別だけど、
何かといえば呼びに来たり、雅紀が行ったりしているみたいだ。

やっぱり、すごく…仲が良さそうだ。

さっきも、顔を寄せてコソコソ内緒話したりして。
なんだよ、なんなんだよ。





「はぁ……」


「ほら!また!
…どうしたの?翔くん?なんかあった?
最近また一緒に放課後勉強してくれるのは、嬉しいんだけどさぁ。
なんか…変じゃない?
悩み事でもある?」


潤が、心配そうに顔を寄せてきた。



「いや…別に…」

「別に、って。何回目のため息だと思ってんの。
どことなく、ボーッとしてるし。
なんか最近の翔くん、変だよ?

放課後、一緒に勉強してくれなくなったのも関係してる…?

それと…相葉くんばっかり見てるのも…」



突然の潤の発言に、はっと息を飲んだ。




「な…なんで?そんなこと…」

「わかるよ、俺も…いつも翔くんのこと、見てるから…」

そう言った潤の顔が、みるみるうちに真っ赤になった。