*蛍です。
少し久しぶりの更新になりました。


今日からはわたくしの処女作を。
SAの中編です。
初めて書いたお話なので、今以上に拙いです。恥ずかしくて読み返せない!笑
だけど、明確にある「これを描きたい!」という想いと、情熱だけは溢れています。
なので、恥ずかしいけども、嫌いになれない、そんな子です。










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(Side S)










桜が散る。
今年も、ここの桜は綺麗だ。
あの日も、こんなふうに…いや、これ以上に桜が舞い踊っていた…と思う。
薄紅色の空気の中に消えていく列車を見ていた。
列車の屋根1面に桜が降り積もっている。
春一番が、その桜を吹き飛ばしていくのを、俺は、ぼんやりと眺めていた。









高校3年、春の大会が終わって、それまで部活三昧だった俺は、そのまま受験モードに生活を切り替えた。
元々勉強は苦手ではなかったし、ある程度の見通しもたっていたし…で、まあ、そんなに焦ってもいなかったけど…
それでも、今まではグラウンドで過ごしていた放課後を、図書室で過ごすようになっていた。




「ったく…なんだよ、ついてねーな…」

勉強の合間に友だちとしたジュースジャンケンに見事に負けた俺は、校内の自販機を目指していた。
一番近い自販機は生憎故障中で、いつもは行かない旧校舎まで出向く。
普段は使われていない旧校舎だけど、部活の合宿だったり、なにかにつけて使用されていて、
たしか、この奥に自販機があったんだよな…。


歩き始めてしばらくして、どこからか音が聞こえてきた。
ピアノの…音?
つっかえながら、止まりながら、繰り返し繰り返し奏でられる音。お世辞にも上手いとは言い難い。
だけど、なにか気になった。


そっと、音の出どころと思われる…教室を覗く。



(…相葉…?)



うちのクラスでも一番のムードメーカー。
いつも人の輪の中にいる、相葉…相葉雅紀、だ。
こんな所にピアノなんてあったんだ…。
でも、ピアノなんて…アイツのイメージに無いんだけどな。
どちらかといえば、真面目というよりチャラいヤツだと思っていたし。
見た目も、茶髪にピアスで、担任から呼び出されている姿を見たこともあったし。
俺とはグループの違うヤツ。
そう思っていたから。
暫く、ピアノを弾く…というよりも、ピアノと格闘している姿を見ていた。
少し弾いては止まり、何度も繰り返し…その顔は真剣そのもので。
不思議に思いながらも、その日はそのまま、そこを離れた。