オレは、もう、たまらなくなって……
そのまま、ニノを抱きしめた。


「バカ!バカだよニノは!頭いいくせに……ホントに、バカだ!」

「何言ってんの……。」

「どうして自分を騙すの?どうして自分の気持ちに嘘をつくの?どうして……!」

「いいの。いいんだって。これでいいんだ。」

「ダメだよ!良くないよ……」


フッ、と笑ってニノは、オレの頬に流れる涙を手で拭った。


「なんでアンタが泣くのよ……」

「だって……ニノが泣かないんだもん……」

「ばかだね……。泣くことなんかないんだって」


そう言ってオレの頭を撫でてくれる。


「俺はね、これで良かったんだって思ってるんだ。やっぱりさ……。
翔さんには、陽のあたる場所を堂々と歩いてほしいからね。
それで、翔さんのDNAをさ……後世に残してさ。
知ってる?あの人子どもの扱い結構上手なの。
いいパパになると思うんだよね。
そうやってさ……真っ当な人生を送ってさ……それが、一番いいんだって、わかってるからさ」


「ニノ!もういい、もういいよ……!」


「もう、決めたんだ。だから、いいんだよ。アンタが泣いてくれる必要だって無い。」


「ニノ……」


ニノの表情は、晴れやかで明るかった。
その笑顔は、ドキッとするほど綺麗で……言ってることが本気なんだって、伝わってきた。



その顔を見ていたら……泣けて。
オレは、ニノの胸で泣き続けた。


ニノの代わりに、泣き続けた。








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