結局、その晩はろくに眠れなかった。
考えても、考えても、答えは出なくて。
ただ唯一、わかったことは、このまま翔さんと気まずいままではいたくない、ってことだった。
でも、電話するとか、約束を取り付けるとか、そういう積極的な行動に出るのはなんとなくためらわれて、
次の仕事が一緒になる時に話そう、と思ってたわけ。
でも、そういう時に限ってなかなか仕事が合わなくてさ。
局ですれ違うとか…そういうこともなくて。
内心、ちょっと焦ってた。
もう何日会ってないかな…。
ふとすれば、翔さんのことを考えてたりして、
なんだか、俺らしくもないな、なんて思って。
結構、ドライなほうなんじゃないかって、自分のことを分析してたから。
今まで付き合ってきた子たちとも…バレたら結構あっさり別れられたし。
俺にとっての重要事項はつまり、そういうことじゃなかったってこと。
恋愛よりも、仕事とか、趣味とか、そういうのの方が上、というか。
まあ…相葉さんがずっと俺の中には居たわけだけど…。
俺は、断じてオトコが好きなわけじゃない。
だって、たとえば…さっき弁当持ってきてくれたADくんとかさ?
共演の多い芸人さんとか…
うーん、事務所の後輩とかでもいいよ。
そいつらに、告られたとしたらさ…。
ない、ないないない!
ないわー。
はぁ……。
今日何回目かのため息をついて、ひとりの仕事の楽屋でゲームしてた時。
ノックの音が響いて、開いたドアから、今考えていた人が顔を出した。
「翔さん…。」