「なに、なんかいいことあったんか?」

「別に、何も無いよ…。」

「またまたぁ。ニノちゃん、最近、ゴキゲンじゃーん」


相葉さんは、ソファーの隣に座って、俺をぐりぐりと体で押した。

「ちょっと、やめろよ、ゲームの邪魔だろ!」

「なになに、ニノぉ、なんかいいことあったのかしらぁー?」

大野さんもオネエ言葉で隣に座って、俺は両側から2人に挟まれてぐりぐり押されて。


「ちょっと、話しなさいよー」

「白状しなさいよー」

「言わないと、踏んづけちゃうわよ!」

「どんだけぇー!」


オネエになりきったふたりは、すっごく楽しそうだ…。



「だから、何でもないってば!やめろよ!」

「言わないと…こうだ!」

「あはははは!!やめ、やめろってぇ!!」


ふたりがかりでくすぐられて、俺はソファーに倒れ込んだ。
上からのしかかるようにくすぐってくる。


くすぐったくて苦しくて、声も出ない!


「やぁ……や、やめ……」

息も絶え絶えにはぁはぁしていたら、背後のドアが開く音がして。




「お前ら、何してんだよ……」

ドアのほうから、地を這うような低い声がした。

「あ…」



大野さんは頭側から手を掴んで押さえ込んで、相葉さんは足側から覆いかぶさるようにくすぐってきてて。


身を捩らせてるから服も乱れて、笑い過ぎて涙も出て。髪もぐしゃぐしゃ。


まるで……襲われてるような……。


いやいやいや!!違うから!



がばっと起き上がったら、潤くんの後ろに、怖い顔をした翔さんが見えた。



「お前らさぁ…」

「ちょっとふざけてただけだってぇ」

大野さんが、ふにゃっと笑って言う。

「そうそう!違うの!」

すぐさま、相葉さんが潤くんに駆け寄る。


相葉さんが、潤くんに言い訳してる。
潤くんは苦笑いしながら話を聞いてて。



俺は…。ソファーの上で、固まっていた。



大野さんが、俺の頭をポンポン、と撫でるように叩く。


なんとなく、楽屋の空気が重くなった気がした。