それから、収録のあと時間がある時には、時々翔さんと飲みに行くことが増えた。


まっすぐ家に帰ってゲームしながら飲むのが日課だった俺にしては、かなり珍しいこと。


いつも、プライベートもスケジュールぎっしりの翔さんなのに、収録後誘ってくれたり、俺から誘っても来てくれたり。

もしかして、俺と一緒の時は、予定空けてくれてるのかな、なんて思ったりして。






この間は、俺が行きつけにしている居酒屋に行った。
きったない飲み屋なんだけどさ、女の子受けしない感じで、俺らに興味なんかないようなオヤジが集まる店で、それが落ち着く。
俺だけの聖地みたいな感じでさ、誰も誘ったこと無かったのに…。
なんとなく、翔さんを連れていきたくて。


俺のことは知らなくても、さすがにニュースキャスターもしてる翔さんのことはオヤジたちも気づいちゃうかと思って、いつもはカウンターの奥にふつうに座るけど、その日は一応奥の座敷を借りた。


油が壁やメニューにごってり染み込んじゃってるような店だけどさ、翔さんも喜んでくれて…。
好物の貝の刺身なんかをつまんでは、旨い旨いって笑って。
いつものように、ほっぺたぱんぱんにして食べてる翔さんに、アナタのひとくちデカイのよ、って俺も笑って。


飲んで、喋って、楽しかったな…。


ふふふ。












「やだな、ニノちゃんったら。思い出し笑いなんかしちゃって。」


見ると、相葉さんがこっちを見てニヤニヤしてた。

今日は収録の合間にテレビ誌の撮影があって、潤くんと翔さんはふたりで別室に行ってる。


楽屋には俺と相葉さんと大野さん。

相葉さんの声に、スマホゲームしてた大野さんもこっちを見た。