あ、また。



まただ。




意識しちゃったからかな。

なんかさ…。すごい翔さんと目が合う気がする。

いや、わかるよ?

これは、ほら、普通のアイコンタクトでさ。

番組の流れを作る上でのさ。

次の進行の確認っていうかさ。

ね?





俺と翔さんは、番組の進行、ツッコミ役。
ほかのメンバーは時にして乗ったり、ボケたり。
役割分担が自然と出来ていて。



つまり、そーいうことだよ。
うん、そう。
深い意味は、ないよ。
たぶん。

たぶんね。



「あっはっはっ、ニノ、すげえな、あれ!」

前列に座ってた翔さんが、振り返って、斜め後ろに座ってた俺に笑いかける。


確かに…
翔さんとは、アイコンタクトして進行することも多い。
進行というか…それももちろんなんだけどさ、
ふざけ時がわかるというか。
俺の言いたい事、すぐわかってくれて、
逆もしかりで。


すごく楽しい。


わざわざ説明しなくてもわかってくれるっていう安心感というか。

まあ、メンバーみんなそうなんだけど、
翔さんには特にそれを感じるな…。



ぼーっとそんなこと考えてたら、
隣に座ってた大野さんに膝を叩かれる。


「ぼーっとしてる人にぼーっとしてる事怒られた…。ショック。超ショック。」


そう言ったら、「うるせぇ」って今度は膝をグーで殴られた。


ま、もちろん3倍ぐらいの強さでやり返してやったけどね。


そんなふうにごちゃごちゃ遊んでたら、お仕事しなさいよ、って潤くんに2人とも怒られた。


てへ、ごめんなさーい、って大野さんと顔を見合わせて。
お前のせいだろ、お前だろ、ってお互いに肩をぶつけ合って、笑って。

ぱっと前を向いたら、翔さんとまた目が合った。


すぐ逸れたけど。


あからさまに、翔さんが目を逸らした。


逸らされた。


え?なんでよ?
さっきまで、こっち見て笑ってたでしょうよ。
なぜかわからなくて、ちょっとイラッとした。



イラッとした理由もわからないまま、モヤモヤしてたけど、
撮影が進めば、普段通りで。


翔さんと2人で組んで番組のゲームに挑戦する時も、
いつも通りだった。
ゲストさんの振りに対してのボケも、ぴったり揃う。
なんの打ち合わせもしてないんだけどね?


楽しいな。

嬉しくなって、翔さんの顔を見て、にっこり笑った。

翔さんも、優しい目で俺を見ている。

いつの間にか、すっかりモヤモヤはなくなっていた。









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