「ところで、なんで俺、死んじゃうことになっちゃってんの?」
「だって、マネージャーからメールが…」
そういえば、とスマホを見る。
さっきは動揺してよく読めなかったメールには、さっき翔さんが言った通りの理由が書いてあって…
よく読んだら全然、心配するような内容じゃなかった。
な、何だよ…。慌てて来ることなかったじゃん…。
でも、夜中にあんなメール来たら誰だってビックリするでしょうよ!
マネージャーも人騒がせな…。
なんだかすっごく恥ずかしくて、黙ってしまった俺に、翔さんは手を伸ばしかけて…その手を下ろした。
「ニノは、優しいな。
あの時も…相葉くんが入院した時も。
すっごい心配してたもんな。
仕事の時は、表に出さないようにしてたけど、もしかしたらニノまで倒れちゃうんじゃないかって、俺は…俺たちは、心配してた。
ホントにお前たちは…」
その後、口を開いて…でも、その先の言葉は、翔さんから聞こえてこなかった。
「とにかく…もう帰りな?夜も遅いし、明日も仕事だろ?
心配かけて、ごめんな。」
優しく微笑む翔さんが、なんだか儚く見えた。
月明かりに照らされた翔さんが、消えてしまいそうに感じて、俺は、咄嗟に翔さんの手を握る。
「ニノ、」
「翔さん、あの」
コンコン!
「二宮さん!ホントに来てた!」
ノックの音とほぼ同時に、病室のドアが開いてマネージャーが飛びこんできた。
慌てて手を離して離れる。
「心配ないってメールに書いたじゃないっすかー!看護師さんに注意されちゃったっすよー!」
「あんなメールもらったら、誰だって…」
「とにかく、ご自宅まで送りますから!明日も早いんですから、さ、帰りましょう!
櫻井さんはゆっくり寝てくださいよ!」
半ば引きずられるように連れ出されそうになって、翔さんを見たら、
いつもの、眉を下げた苦笑を浮かべながら俺に手を振った。