駆けつけた病院は、もちろん面会時間が過ぎている。
だけど、こんな状況だよ?
目を丸くする看護師さんに俺は、ここぞとばかりにアイドルオーラを振りまきつつ、
仕事の都合でどうしても今しか来れないのだ、と伝えた。
どうしても今、会いたいんだ、と。



俺の必死な様子に、特別ですよ、と許可をもらい、そっと病室に入る。
一般の入院患者とは別のフロアにある広めの個室だ。




そこに、翔さんは横たわっていた。
腕には点滴のチューブ。
頭に包帯がぐるぐると巻かれている。
月の明かりが、目を閉じる翔さんを白く照らしていた。
その姿があまりにも綺麗で…
俺は、よろよろとベッドのそばに近づいた。
翔さんがこのまま、消えてしまいそうな気がして。




「翔さん……。」


そっと手を握る。


「翔さん…。どうして…」


気がつけば、涙が流れていた。
翔さん、なんだよ、何なんだよ、あんな意味深なこと言っといて。俺の気持ち、乱しておいてそのまま…なんて、俺、絶対許さねえぞ。
バカヤロウ、ふざけんな!ちゃんと言うまで絶対逝かせねーからな!!


「翔さんっ!!」

「……ん……、何…?」



手を握って涙を流す俺の目の前で瀕死の(はずの)翔さんが、目を開けた。



「……!!」

「ふわあああぁ、ニノ、どした?おはよ。ってまだ夜じゃん」


翔さんはのんきに欠伸しながら起き上がった。



「ちょっと寝るとスッキリするよな。すっげーよく寝た気分。」

「しょ…翔さん??え、え、倒れたって…倒れて瀕死の重症じゃ、なかったの…?」

「あっはっはっ、誰がだよ。

…え?ニノ、泣いてる?」


翔さんは、俺の頬に流れる涙に気づいて、驚いた顔になった。








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すみません、毎日6時と18時更新に設定していたのですが、今日の分忘れてました。