そんな平和なエピソードから、ほんの数日後のことだった。
仕事を終えて自宅。時間は、深夜0時を回った頃だったかな…。
俺は風呂も終えて寝る支度してゲーム中。
そろそろ1人じゃなくて、世界中の仲間と世界を守ろうかなって思った頃。
スマホがブルブル。
また翔さん?でもこんな時間だし…って内心ドキドキしながら見る。
マネージャーからのメンバー一斉メール?
なんだろ、と表示した内容に、俺は思わず立ち上がった。
__翔さんが撮影後に倒れて入院しました__
「嘘だろ?!」
深夜だというのに大声が出た。
メールは、まだ続いていたけれど、動転してその先が頭に入っていかない。
今になって考えれば…もし重大な問題であればメールじゃ無くて電話だっただろうし、第一、メールの先を冷静に読めていれば…
あんなに動揺しなかったんだけど。
俺の頭の中には、『翔さんが倒れた』って言葉だけがぐるぐると渦を巻いてた。
震える手でマネージャーの名前を表示させてタップする。
『はい、もしもし、二宮さん?』
病院に居るのだろうか、マネージャーの声は小声だ。
「翔さんは?!翔さん、どこにいるんだよ!」
『あの、二宮さん、ですから、メールしましたけど、』
「今すぐ行く!すぐ行くから、病院教えろよ!」
『や、あの』
「早く!」
ド深夜に怒鳴っても隣近所から文句の出ないセレブマンションに住んでいて、今日くらい良かったと思うことは無いね。
要領を得ない様子のマネージャーからやっとの事で病院の名前を聞く。
ちゃんとした受け答えもままならないくらいの病状なのかな…!!
翔さんに、会わなくちゃ!
早く、翔さんに!
「わかった、今すぐ行くから、翔さんに…死ぬなって伝えて!!」
『あの、二宮さ』
ブツっと通話を切って俺は、タクシーを捕まえるべく外に飛び出した。