#2-② 「銀魂2」~福田雄一監督 | Koharu日記

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福田雄一監督さんの
インタビュー記事の後半

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邦画実写映画No.1ヒットでも「悔いが残ってる」

福田監督の作品に欠かせない“笑い”に関しては、どのように作っているんでしょうか? 以前、別の作品で福田作品の常連である佐藤二朗さん、ムロツヨシさんに話をうかがった際には「ここは何か面白いことをやってね」という無言の圧力を感じるとおっしゃってました。

いやいや! (さも心外そうな口ぶりで)それは、本人たちが勝手に思ってることですね。僕は全然、そんなこと思ってもないですよ(笑)。

その一方で小栗さんは「僕は“おもしろ(ギャグパート)”に関してはよくわかんないんで、福田さんにお任せしている」と。

いやいや、それはズルい言い訳だと思います!(笑)

もちろん、登場人物にもよるとは思いますが、先ほどのキャスティングと同様に、俳優さんの持ち味や個性に応じてギャグパートの演出をしていくのでしょうか?

というか、付き合いが長くなればなるほど、僕が何を求めているかを自然とわかってくれるというのが一番大きいんじゃないかと思います。感じるんじゃないでしょうかね? 「ここは自分が好き勝手にやって面白くしていいところだ!」というのを。

あうんの呼吸で、監督の求める面白さを俳優陣が表現してくれる?

そういう意味で今回、佐藤二朗さんやムロツヨシくんをはるかに凌駕する面白い役者は小栗 旬ですから! 小栗くんはずっと「今回は真選組の話がメインでしょ? 俺はにぎやかしだから」って言ってて、2月に窪田くんとの壮絶なシーンで撮影が始まったんですけど、それが終わったら「あとは遊ぶだけ」って(笑)。

実際、そのあとに撮影した(ギャグパートの)キャバクラや床屋のシーンは、小栗くんはかなり好き勝手演じて、楽しんでいる様子でしたよ(笑)。編集作業を通じて、僕らは何十回と同じ映像を見るんですが、何度見ても笑っちゃうシーンってあるんですよ。それが今回、ことごとく小栗くんの出ているシーンなんです。
前作もシリアスパートがありつつも、相当笑わせてもらいましたが、今回はそれを上回る?

いやぁ、今回の小栗 旬は相当スゴいです! 菅田くん、橋本環奈さんを加えた万事屋の3人のふざけっぷりはすさまじかったです。それは前作があってのことだと思います。(前作がヒットして)ひとつ、背負っていた重いものを降ろして解き放たれた状態での勢いを感じましたね。

福田監督も、小栗さんらと同様に前作は重いものを背負われていたかと。1作目がヒットしたことで解放されたり、変化した部分などはありますか?

いや、僕は「大ヒットした」という認識が全然ないんですよね。

それはヒットの実感がわかないという意味ですか?

ではなくて、もっと行くんじゃないかと思ってました。だから、ヒットして嬉しいって感覚ではなく、悔いが残ってます。

「悔い」ですか? あくまで一般論ですが、邦画実写、とくに漫画原作の作品が軒並み伸び悩む中で、興行収入38.4億円は大ヒットと言えるかと…。

どちらかというと、今回に関しては「リベンジ」という意識ですね。続編のプレッシャーはまったくなくて「前作では“あれ”ができなかったけど」とか「あそこはもっとできたはずなのに…」という思いが強いです。

前作のオープニングでは、銀時、新八、神楽によるやりとりも話題を集めました。今回も台本上ではかなり過激なやりとりが展開されているようでしたが…。

つい先日、アフレコ収録がありました(※取材が行われたのは6月下旬)。ただ、台本通りではなく、いろいろ変更は入ってます。

銀時たちが劇中でも「これはピー(規制音)が入るだろう」と言ってますが…。

とっても新鮮な…映画が公開される8月になってもフレッシュであろうネタをぶち込むことができました!

前作もそうでしたが、オープニング以外にも、かなりきわどいパロディが随所に散りばめられていますが、無事に上映できるんでしょうか?

そこは(配給の)ワーナーさんが台本の段階で許可してくださってるんでね。何かあってもワーナーさんが頑張ってくださるんじゃないかと。僕の範疇ではないです(笑)。

「作品の演出がすべて同じ」と言われてもそれでいい

『銀魂』シリーズのみならず、ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)や『スーパーサラリーマン左江内氏』、10月に放送を控える『今日から俺は!!』(ともに日本テレビ系)、今秋配信の『聖☆おにいさん』(ピッコマTV)など、いわゆる“福田組”が非常に大きな注目を集めています。

そうなんですよね。何でしょう、“福田組”という言葉は…。佐藤二朗さんがずっと言っているんですけど「福田雄一は監督ではなくゆるキャラである」と。

正直に言うとそれは最近、何となく自覚しています(笑)。街を歩いていると「監督、監督!」って声をかけられるんですよ。

ファンが福田監督の顔と名前を完全に認識されているんですね。

こんなに気軽に声をかけられる監督っていないだろうなぁって。これが山崎 貴さんなら「山崎監督」だろうし、三池崇史さんなら「三池監督」と呼ばれると思うけど、僕はただ「監督」って(笑)。これはひらがなで「かんとく」というゆるキャラなんじゃないかと。そういう意味で福田組というのはコメディ劇団みたいなイメージなのかな…(笑)。

6月に公開された映画『50回目のファーストキス』は、福田監督作品にして“まさかの”ラブストーリーでした。コメディに寄りすぎない作品を作りたいという思いや、変化を求める気持ちはお持ちなんでしょうか?

いや、冷静に考えて、そもそも僕のイメージとか作風を知ってる人なんてどれくらいいるのかな?と。ムロツヨシくんとよく話すんですけど、僕の作品に対して「今回もこれか」という声が聞こえてくることが、全然嫌じゃないんですよね。

というのは、そう言ってくれるのは過去の作品を知っているからであるわけで。いまは、そう言ってくださる人をどれだけ増やせるか?という勝負をしている時期なんじゃないかと。

「福田組の作品はこういうものだ」というのを、より多くの人に浸透させるべき時期だと?

『銀魂』に関しても、前作があって、今回の続編をより多くの人に見ていただいて「あぁ、監督は福田雄一っていうんだ。こういう作品を撮るんだ」と知ってもらえたら良くて「前回、こういう作品だったから、今回は…」という勝負をする時期では全然ないなと思います。

一度、嫁にすごく叱られたんです。(2013年に公開された)映画『HK 変態仮面』のときかな? ネットで「結局、福田ってすべての作品で演出が同じだ」って書かれて、それを僕が気にしてたんですよ。

それに対して奥さまは…?

福田雄一がどんな演出をするかを知っている日本国民なんて、これっぽっちしかいないから、そんなの気にしないでもらっていいっすか? むしろ“毎回同じじゃん”と言ってくれる人を少しでも増やす作業してもらっていいっすか?」って(笑)。

いや本当、その通りだなと思いました。一部で“福田組”なんて言われてますが、「いや、そんなの知らねーし。何だよそれ?」って思ってる人がほとんどだと思います。

とはいえ、その“これっぽっち”が徐々に増えてきているという実感は?

ないんですよ、それが。だから、いまだに素人感覚で失言が多くて怒られてます(苦笑)。僕はいまでも、自分の感覚としては、大学時代からずっとやってきた、売れない劇団・ブラボーカンパニーの座長なんです。

そんな男がたまたま、こんな大きな映画の監督をやらせてもらってるって感じで。だから、業界的に「言っちゃいけないこと」とかがわかってなくて、言ってしまうんです(笑)

きわどいパロディネタも、決して業界に対する挑戦状!という意気込みではなく…?

全然、そういうのじゃなく、素人だから、何を言ってもいいでしょ?って(笑)。

と言いつつ、今作には副題に「掟は破るためにこそある」と付けられてますが…(笑)。

あはは、それはそうなんですけど…(笑)。いまだにロケ先で訪れた地方で、地元のおばさまたちに「あら監督! 見てるわよぉ!」なんて声をかけられて「え? 何を見てんの?」とか普通に15分くらい、会話したりしてます(笑)。

福田雄一(ふくだ・ゆういち)
1968年7月12日生まれ。栃木県出身。A型。大学時代に劇団ブラボーカンパニーを旗揚げし、座長として全作品の構成・演出を担当。舞台のかたわら、放送作家としてバラエティ番組の構成を手がける。2008年に放送された『33分探偵』(フジテレビ系)では、原作・脚本・演出を担当。2009年には自身の戯曲を映画化した『大洗にも星はふるなり』で長編映画監督デビュー。以降、ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)、『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)、映画『斉木楠雄のΨ難』など数々の話題作を世に送り出してきた。10月からはドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)が放送予定。