阿蘇での開催から北九州での出張版阿蘇ロックフェスティバル。今年も本当に素晴らしい1日だった。




泉谷しげる、KEYTALK以外は全て初見のアーティストばかり。AK-69のHIP HOPなんて、15年くらい前にMTVのイベントでライムスターを見て以来だし、ももクロのようにアイドルのライブを見たのは生まれて初めて。
自分の中でもこれだけ初めてづくしのフェスはこれからあるだろうか。

集客はかなり厳しかったと思う。ぶっちゃけ、ももクロが出てくれなかったら赤字どころの話じゃなかっただろう。
ライブハウス以外でライブをやるという土壌があまり育っていない土地でこれだけの規模のフェスをしかもスタジアムでやるのは、相当なハードルがあったことは素人でも察するにあまりある。
トップバッターの泉谷しげるの時は心から不安になったけど、時間が進むにつれ、スタンドもスタンディングも少しずつ参加者が多くなっていった。




「日本で一番デカイ音を出すフェス」を標榜しているだけあって、特にバスドラの音が半端なかった。前日のリハで苦情が来ていたらしい。それでも「苦情をものともしない」と開会宣言したように、最後まで阿蘇ロックはその姿勢を貫き通した。

北九州はあるあるCity(アニメを中心とした商業施設、前ラフォーレ)があるから、バンドリ!関連のアーティストが出演したこともあるのだろう。1組だけ見たけど、想像以上に演奏レベルは高かったのは驚いた。

AK-69は久々に心にハートブレイクショットを打たれたような衝撃をもらった。BAD HOPもそうだし、今は若い頃ヤンチャやってる人が出会うのはロックではなくてHIP HOPなんだろう。

亡き父親を歌ったSTRONGER。HIP HOPで家族との別れを綴った歌は初めてで、こんな形もあるのか!と思うと同時に涙が止まらなかった。






さだまさしと竹原ピストルの連チャンは、異次元だった。

天使と悪魔というユニット名(?)でさだまさしと泉谷しげるの案山子は泣いた。
どっちが天使か悪魔かは置いといて、今まで知らなかった2人の絆がトークからも垣間見えたし、関白宣言のワンフレーズだけ歌ってから「ひどい歌だと叩かれたもんだよ。そういう奴に限って声がでかいんだ」と悪態をついてからの関白失脚。
「頑張れ  頑張れ」のフレーズで泣き、最後風の上に立つライオンで号泣した。

竹原ピストルも「フォーク小屋生まれフォーク小屋育ち」と言いつつも、今では大規模なフェスにも立つことのある彼は間違いなくロックシンガーだったし、「さだまさしさんの後で、ももクロさんの前。この間に挟まれるって、いじめだと思うんですよ」なんて笑って嘆いていた。それでもバカでかい音でギターをかき鳴らして圧倒的な存在感を放っていた。
LIVE IN 和歌山を聴けると思わなかった。

薬漬けでも生きろ
どうせ人間 誰もがなんらか漬けで生きてるんだ
大差ねえよ

そうだよ。音楽漬けじゃないと生きていけねえんだ。
AK-69もそうだけど、「本物の本気」は必ず誰かに届く。

ももクロも国民的アイドルの本気を見たと思う。4人が初めてライブで生演奏を披露したもの凄かったし、そのドラムを叩く元銀杏BOYZの村井。いろんな感情が込み上げた。




来年は阿蘇に戻って2日間開催(の予定)。初年度雨の中モンパチから始まった阿蘇ロック。熊本地震で2回目の開催を見送るも、ほぼ全ての同じアーティストが一年後スケジュールを空けてくれてサンボ、WANIMA、レキシなど今の音楽シーンを代表するバンドが出演。3回目はワイドナショーとのコラボで松本人志降臨と、阿蘇ロックは九州を代表するに値するフェスになりつつあると勝手に思っている。

でも実際は全国的にはおろか、九州の中でもまだまだ知名度はおそらく低いだろう。それでもいい。僕はこのフェスがかけがえのないものだから。嘘偽りなく、阿蘇ロックは〇〇が出るから行くものでなくなっている。阿蘇ロックに行く事自体が自分にとっては何より重要だ。

来年の阿蘇ではどんな景色が広がるのだろう。

熊本の復興がゴールじゃない。その先に目指すものがある。泉谷しげるの志と共に阿蘇ロックは確実にそこに向かっている。