今までたくさんの親子を面談してきたが、「ある単純な法則」に気付いていない人が多い。単純な法則とは「言葉の力」のことである。

言葉には力がある。使う言葉によって人生は良くも悪くもなる。

物事には因果関係というものがある。「原因」と「結果」は一直線上にあり、良い原因は良い結果に、悪い原因は悪い結果に繋がる。良い結果が欲しければ良い原因を作ればいい。

親子を面談していてよく言われること。
「うちの子は何をやってもダメなんです」
「うちの子はやる気が続かないんです」
「英単語を憶えられないんです」
「もともと国語はできないんです」
「何をやってもうまくいかないんです」
「いろいろ塾を変えたけど、どこに行っても成績が上がらないんです」
「勉強したくないから推薦で大学に行きたいんです」
「自分で勉強するなんて、うちの子にはとても無理です」
「やったほうがいいのは分かるけど、どうせできないんです」
「もともと何やっても上手くいかないんです」

こういう言葉を使って、親子でマイナスのマインドセットをしている。自分自身の言葉で、自分自身をダメにしている。

良くなって欲しいのでメンタルや言葉のことも伝る。気付いて改めようとする方もいるが、中には「うちの子にはいくら金かけたってダメだ」と怒り出してしまう保護者もいる。その隣で子どもは怒りや絶望の表情を浮かべている。

また、このような言葉を使い続ける保護者の場合、子どもの成績が上がっても「こんなのは成績が上がったうちに入らない」「たまたま問題が易しかったんだろう」「まぐれだ」「親としては認められない」「数学は上がったかもしれないけど、やっぱり英語はダメね」などと言って、我が子を潰しにかかる。我が子がやる気を失えば、「だから最初から言ってるとおり、うちの子は何をやってもダメなんです」と、自分の価値観が正しかったとでも言いたいのか、冷たい微笑みを浮かべている。

ここまでマイナスのマインドセットの事例を書いたが、決して極端な例ではなく、よくあることだ。マイナスのマインドセットが習慣になっていると、自分がひどい状態でも気付かない。自分の発した言葉を丁寧に振り返るとよい。

プラスのマインドセットはマイナスの事例の逆をやればいい。

日常の中でのマインドセットが一番効果がある。例えば「英単語は憶えられる」と思いながら憶えればよい。「自分は何をやっても上手くできるようになる」と言い聞かせながら勉強すればよい。

言葉の力については聖書に記載がある。よく味わって何度も読んでほしい。

「はじめに言葉ありき。言葉は神と共にあり、言葉は神であった。言葉は神と共にあった。万物は言葉によって成り、言葉によらず成ったものはひとつもなかった。言葉の内に命があり、命は人を照らす光であった。その光は闇の中で輝き、闇が光に打ち勝つことはなかった」(『新約聖書』「ヨハネの福音書」より)


(つづく)