ビートニクが疼く

百怪談筆中。夏頃完成。目標霊降臨。馬鹿騒導。

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「女の子」

「女の子」


赤い靴・・履いてた・・・女の子・・・



「ちょっと恭介、暗い歌歌わないでよ」

「は?オレが?」


恭介は椅子に腰掛け教室の窓から空を見上げていた。

放課後の空はまだ明るく、夏の季節を感じられた。

何かを考えていたわけでもなく、ぼーっとしていた恭介は後ろにいた女の子の声で現実に引き戻された。


「今歌ってたでしょ」

「歌ってた?覚えてないや・・・ぼーっとしてたから」

「もー恭介はいっつもぼーっとしてるよね。早く日直の仕事終わらせたいのに」

「はは・・・」

「ははって・・手伝えっての・・・」


理代子は愚痴をこぼしながらもてきぱきと仕事をこなす。

恭介と理代子は幼い頃からの親友だ。

といってもこの小さな村では皆が生まれた病院も同じで小さな頃から学校も同じ友達なのだ。


「よし出来た。さ、恭介帰ろう。」

「ん・・いつもさんきゅ。助かる」

「まぁね、病弱なあんたを世話できるのは私くらいなもんよ」

「はは・・・理代子が羨ましいよ」


恭介と理代子は校門を通り細いコンクリートの階段を降りて

降り坂を下りる。

いつも通る下校通路なのだが、日直の仕事をしている間にひは暮れて薄暗く

何か不気味な雰囲気だった。

お互いに何か話すわけでもなく、もくもくと歩く。

理代子はちらっと恭介の顔をのぞく。

しかし恭介はこの不気味は雰囲気に気にもとめていないような顔で前を見ている。

理代子はそんな恭介をみて気のせいかと少し安心した。


赤い靴・・・履いてた・・・女の子・・・


「や・・やだ、やめてってばその歌」

「理代子?」

「それって女の子がよそへ売り飛ばされる歌でしょ?気味悪いって・・・」

「理代子、誰と話してるの?」

「え?誰ってあんたと・・・・」


顔をあげるとさっきまでそこにいた恭介はいなかった。


「え?・・・え?恭介、どこ?」

体の弱い恭介が走って逃げる力なんてない。

この薄暗い降り道に隠れる場所もない。

ただ前後にまっすぐ進む道に、恭介の姿はなかった。

さっきまで一緒だったはずなのに、今は自分ひとりなのだ。

冷や汗がでる。

さっきまで一緒だった恭介は・・・誰?



赤い靴・・・履いてた・・・女の子・・・

異人さんに・・・連れられて行っちゃった・・・


「また・・・この歌?いやっ誰なの!?」

理代子は一心不乱に叫ぶ。


お母さん・・・


お母さん・・・


お母さん・・・


お母さん・・・


お母さん・・・


お母さん・・・


お母さん・・・


私の代わりにこの子を持ってって・・・・






「ごめん待った・・・あれ?理代子?」


理代子と校門で待ち合わせしていた恭介は、急に体が重くなり時間に遅れてきた。

しかしそこにあるのは理代子の赤い靴だけ・・・

「なんでこんなところに理代子の靴が・・・」

恭介は赤い靴を持って理代子の家を訪ねた。

理代子はまだ帰っていないと言われ、不振に思った恭介は学校に戻ることにした。

しかし、真っ暗になった空の下、一向に理代子を見つけることはできなかった。








基本のお題


あと百本... 「女の子」
あと九十九本... 「最期」
あと九十八本... 「手」
あと九十七本... 「かいだん」
あと九十六本... 「追いかけてくる」
あと九十五本... 「自転車」
あと九十四本... 「ビデオ」
あと九十三本... 「七不思議」
あと九十二本... 「たすけて」
あと九十一本... 「トンネル」

あと九十本... 「首」
あと八十九本... 「赤い」
あと八十八本... 「寒い…」
あと八十七本... 「ホテル」
あと八十六本... 「夜はお静かに」
あと八十五本... 「図書館」
あと八十四本... 「はないちもんめ」
あと八十三本... 「かくれんぼ」
あと八十二本... 「海」
あと八十一本... 「鏡」

あと八十本... 「つまさき」
あと七十九本... 「出られない」
あと七十八本... 「はなして!」

あと七十七本... 「パソコン」
あと七十六本... 「水たまり」
あと七十五本... 「足りない」
あと七十四本... 「いつまでもあなたを見てるわ」
あと七十三本... 「カーン、カーン」
あと七十二本... 「天井」
あと七十一本... 「自殺の名所」

あと七十本... 「断頭台」
あと六十九本... 「長い髪の毛」
あと六十八本... 「滝の裏側」
あと六十七本... 「おしいれ」
あと六十六本... 「重いっ」
あと六十五本... 「呼び声」
あと六十四本... 「サッカーボール」
あと六十三本... 「誰か見ている」
あと六十二本... 「フジツボ」
あと六十一本... 「インターネット」

あと六十本... 「出来すぎた話」
あと五十九本... 「笑う」
あと五十八本... 「後ろ姿」
あと五十七本... 「電車」
あと五十六本... 「あっちむいてホイ」
あと五十五本... 「おかあさん」
あと五十四本... 「ちょっとまってて」
あと五十三本... 「通りすがる」
あと五十二本... 「最終バス」
あと五十一本... 「顔」

あと五十本... 「百物語」
あと四十九本... 「携帯電話」
あと四十八本... 「口裂け男」
あと四十七本... 「深夜番組」
あと四十六本... 「マチ針」
あと四十五本... 「13人」
あと四十四本... 「口」
あと四十三本... 「熱い」
あと四十二本... 「扉」
あと四十一本... 「永遠に」

あと四十本... 「血」
あと三十九本... 「軽はずみな言葉」
あと三十八本... 「お茶でもお入れいたしましょうか」
あと三十七本... 「電話ボックス」
あと三十六本... 「高速道路」
あと三十五本... 「お迎えにあがります」
あと三十四本... 「灯篭流し」
あと三十三本... 「病院」
あと三十二本... 「泣き声」
あと三十一本... 「見えました?」

あと三十本... 「後少しだったのに」
あとニ十九本... 「トイレに」
あとニ十八本... 「冷蔵庫」
あとニ十七本... 「桜の木」
あとニ十六本... 「睡魔」
あとニ十五本... 「無数の…」
あとニ十四本... 「黒揚羽」
あと二十三本... 「井戸」
あとニ十ニ本... 「謎」
あとニ十一本... (「ここでは、貴方が体験した怪談めいた実話を語ってください…。」)

あとニ十本... 「まだ、大丈夫」
あと十九本... 「猫」
あと十八本... 「鳥居」
あと十七本... 「ゲーム」
あと十六本... 「いっしょにいかない?」
あと十五本... 「願い事」
あと十四本... 「三番目の椅子」
あと十三本... 「夢」
あと十二本... 「飛び降りたら?」
あと十一本... 「四人目」

あと十本... 「ピンポンダッシュ」
あと九本... 「倉庫」
あと八本... 「コインロッカー」
あと七本... 「マンホール」
あと六本... 「人形」
あと五本... 「お墓」
あと四本... 「入っていいですか」
あと三本... 「寂しいよ」
あと二本... 「下を見て」


あと一本... 「お前だ」