映画(邦339) ドライブ・マイ・カー 2021年作品/ 各国の映画賞を受賞 | ビート・マンのブログ

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ヒューマンドラマ

喪失感から希望へ、変化の兆しが・・・

 

 

原作:村上春樹

監督:濱口竜介

主演:西島秀俊家福悠介

出演:三浦透子(渡利みさき

  :霧島れいか(福家音

  :岡田将生(高槻耕史

主人公を時系列でそのまま映し出す演出が良い

 

 
 
本作「ドライブ・マイ・カー」は2年前に妻を亡くした主人公が、似た状況の運転手と時間を共にするなかで、少しだけ希望を持ち出す内容になっている。
 
簡単に表現するとこの記載内容になるのだが、本作に回想シーンは存在しない。実は主人公を時系列でそのまま映し出しており、映画を鑑賞している観客は、常に主人公の「今」を観ている演出になっています。
 
作品は179分と長い。冒頭から約40分は主人公夫妻(家福悠介と音)の関係性を描いており、妻・音がくも膜下出血で死亡するまでの演出で、主人公・悠介の喪失感が確認できる(短いシーンだが娘の法事シーンが存在。主人公は家族を全員失った)。
 
主人公夫妻の奇妙な関係が序盤で表現され、それでも二人は互いを必要としていた関係性が確認できる(音が死ぬ前に悠介に「夜話がある」と伝えていたが、それが何だったのかは不明=私は子供が出来たと伝えると思っていた)。
 
音の死から2年が経過し、悠介は舞台演出の仕事で広島へ向かう。
 
実はここからキャストの名前が画面に映し出される。ここからが本編ですと観客に意識させる意味だと私は受け止め、本作が区切りのない2部構成と理解した。
 
悠介は愛車(SAAB 900Turbo)で広島に入ったが、スタッフから自分での運転はしないで欲しいと伝えられる。渋々と容認する悠介の愛車を運転するのは若い女性だった(自分の娘が生きていれば同じ位の年齢)。
 
広島で初めて会うスタッフ、そしてキャストと稽古を始める。
 
ここからは特に何かビックリするようなことは起きない。舞台演出のために読み合わせを行い、キャストにセリフを覚えてもらうことを繰り返す。キャストの高槻が切れやすい性格であることを演出しているが、小さな味付け程度と私は受け止めた。
 
悠介は新たなスタッフとキャスト、そしてドライバーとの交流の中で、今まで押し殺していた感情が「少しだけ」蘇る。そしてラストに向かい自分が演出した舞台が、悠介の人生と重なり合う内容で幕を閉じる。
 
ここでエンドロールかと思った瞬間、ドライバーの渡利みさきが韓国でSAAB 900Turboに乗って買い物をしているシーンに切り替わる。このシーンに関しては観客が自由に解釈する演出なので特に何も書きません。
 
 
本作はヒューマン・ドラマです。つまりエンターテインメント作品ではありません。そのため「面白くない」と語る人も存在します。エンターテインメント作品を期待すると自身の評価を下げてしまいますので、静かでゆっくりと進行する作品であることを理解して、鑑賞することをお勧めします。
 
個人的にはエンターテインメント作品が大好きです。実は本作は179分と長いため鑑賞を躊躇していました。そのため期待値が下がったこともありますが、時間の長さを感じさせない内容で、個人的には満足出来ました。
 

 

 
 
 
映画 ドライブマイカー 2021年公開(お薦め度★★★★☆