映画(洋224) 十二人の怒れる男 1957年作品/ 陪審員の葛藤を描く傑作 | ビート・マンのブログ

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12人の一般人が裁決

本当に自分が決めて良いのか?
 
脚本:レジナルド・ローズ(原作者)
監督:シドニー・ルメット
主演:ヘンリー・フォンダ(陪審員8番)
出演:エド・ベグリー(陪審員10番)
   :リー・J・コッブ(陪審員3番)
初対面の12人、互いに名は知らない
 
本作「十二人の怒れる男」は陪審員制度で集まった人々が、殺人容疑で被告となった青年の判決の過程を描いている。
 
物語は裁判が終了し、陪審員が別室に移動するところから始まる(映画鑑賞者は裁判過程を観ないので、その映像に意見が左右されることはなく、被告の青年も一瞬だけ映し出されるだけで印象は無い)。
 
夏の暑い日に十二人の陪審員は審議を始める。事件が殺人なので満場一致で有罪になると参加者は思っていた。しかし一人だけ「無罪」を主張する男性(陪審員8番)が現れた。満場一致が原則なため、十二人は蒸し暑い室内で話し合いを始める。
 
参加者は互いに顔も名前も知らない一般人。中には野球の試合を観たいから「有罪」で早く終わらせたい者、青年の生い立ちから偏見を持ち「有罪」を主張する者、多数意見に流される者など多彩な人の集まりだった。
 
陪審員8番は裁判で矛盾と思われる点に疑問を抱き、疑問が解消されない限り「無罪」と訴えた(推定無罪)。そして裁判で検察側が有罪の根拠に挙げた証人の発言を一つずつ検証していった。
 
互いに意見を交わすうちに「無罪」側に一人、また一人と移り変わり、「無罪」11人、「有罪」1人と議論開始時と真逆の状態になる。最後まで「有罪」を主張した者は、実の息子が家を出て帰らず、若者に対する偏見に固執する者だった。しかし自分が意地を張っていることを分かっていたので最後は「無罪」へ意見を変え、殺人容疑の青年は「無罪」となった。
 
本作は完全なるヒューマン・ドラマである。本来の裁判なら、本作で陪審員が検証することは法廷で行われている。その結果を観て陪審員は決断するが、怒鳴り合いながら検証するシーンは迫力がある。また、明らかに偏見で話す人には「冷酷なまでに無視をする」など怖いシーンも存在する(人間て怖いと感じた)。
 
しかし被告の青年の将来(死刑)を自分たちが決めるため、最初は適当に対応していた大人が、最後は真剣に裁判に関わり、態度も急変しているのが印象的な作品です。
 
62年以上前の作品ですが、名作と言われるのが分かる作品ですので、まだ観ていないヒューマン・ドラマが好きな人にお薦め致します。
 
オマージュ作品に日本映画「12人の優しい日本人」が存在する。
 
 
映画 十二人の怒れる男 1957年公開(お薦め度★★★★☆