ドラマ 贖罪 / WOWOWドラマ・湊かなえ原作 | ビート・マンのブログ

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自分の罪を償うこと

10歳の子供には耐えられない重圧
 
 
WOWOWで放映されたドラマ「贖罪」。原作は湊かなえ、脚本・監督は黒沢清、主演は小泉今日子。
 
東京から引っ越してきた少女・エミリが友達と遊んでいる時に殺害された。一緒に遊んでいた4人の少女は犯人の顔を目撃していたが覚えていない。そんな4人にエミリの母・麻子(小泉今日子)は「犯人を捜しなさい。それが無理なら償いなさい」と約束させた。
 
約束から15年の歳月が過ぎ、4人の少女はそれぞれの人生を歩んでいたのだが・・・
 
フランス人形】第1話:2012年1月8日放送
紗英(蒼井優)はエミリ事件で大人が来るまで死体の番をしていた少女。この事件の前からフランス人形が盗まれる事件が多発しており、紗英の家もこの後に盗まれた。紗英は大人になるのを拒絶したまま大人になった。
 
ある日、紗英のもとに職場から見合いの話が届いた。相手・孝博(森山未來)は大手企業の御曹司だが、紗英と同じ小学校の先輩。悩んだ末に結婚するが、孝博の性癖がフランス人形の様な人を眺めることに衝撃を受ける。孝博は15年前にフランス人形を盗んだ人物で、初潮を迎えていない紗英だからプロポーズしたことが分かる。
 
精神的に追い詰められた紗英。生まれて初めて初潮迎えた時に孝博は離婚を言い渡すが、発作的に紗英は彼を殺害する。警察に自首するため外に出た紗英はエミリの母・麻子と遭遇する。「私、エミリの犯人を見つけることが出来ませんでした。あとは麻子さんで探してください」と告げて警察へ向かう。
 
PTA臨時総会】第2話:2012年1月15日放送
真紀(小池栄子)は事件で先生を呼びに行くも見つからずに逃げた少女。真紀は事件のトラウマ払拭のため、小学校教師となっていた。
 
過去の教訓から教え子に厳しく向かう真紀。学校プールに押し入った不審者を撃退し称賛を受けるも、後に過剰防衛として批判を浴びる。教師を辞職することをPTA臨時総会で告げ、エミリの母・麻子と遭遇した時に「私に幸せになる資格はありません。それが私の贖罪」と話す。「実は犯人の顔を当時覚えていましたが言えなくて。誰かに似ている、でも忘れてしまいました」と告げ意識を失う。
 
くまの兄妹】第3話:2012年1月22日放送
晶子(安藤サクラ)は事件でエミリの母親・麻子を呼びに行った少女。晶子は子供時代から「熊の子」と言われ、引きこもりに近い状態で大人になった。
 
事件から15年後に麻子は警察に呼ばれる。晶子が殺人を犯し、麻子に面会を望んだからだ。晶子は自分がエミリを守れなかったことに責任を感じ、少女に性的欲求を求める男性を排除する決意を持っていた。晶子の兄は子連れの女性と結婚。義娘に手を出し始めた兄を殺害し、麻子との約束を果たしたと考えていた。麻子は「自分勝手な解釈ね、私は貴方を許していない」と告げて警察署を立ち去る。
 
とつきとうか】第4話:2012年1月29日放送
由佳(池脇千鶴)は事件で交番に知らせに行った少女。由佳は麻子がエミリと遊んでいた4人に告げた責めの言葉を受け入れなかった。母親が喘息の姉に付ききりで自分に関心を示さず、大人への不信感が理由だ。
 
由佳は事件当日の警官の対応が忘れられず、警官に対する思いが存在した。不仲の姉は警察官・圭太(長谷川朝春)と結婚。由佳は圭太を誘惑し彼の子供を身ごもる。
 
由佳はラジオに流れる声がエミリ殺害犯と同じことに気付き、麻子に取引を持ち掛ける。圭太から「君のことは好きでない」と言われた由佳は彼を石段から突き落とすが、陣痛が生じ緊急出産で病院へ運ばれる。子供を産んだ由佳は麻子に無償で情報を提供し「エミリの復讐をするかは貴方の自由」と付け加える。しかし圭太が死亡したことはまだ知らされていない。
 
償い】第5話:2012年2月5日放送
由佳の情報からフリースクールへ確認に行く麻子。居たのは元カレの南条(香川照之)で、婿養子のため青山に姓が変わっていた。直感で彼が犯人だと確信。由佳にそのことを話すと、エミリが死んだのは必然で4人に非は無い、貴方は4人に償う必要があると言われる。
 
青山へ復讐を誓う麻子だが、青山は何故エミリを殺害したのか。それは偶然フリースクール候補地を探していた時に、麻子の存在を知っただけ。更にエミリの麻子への悪戯が、青山の決定打となった。では青山は麻子に恨みがあったのか?大学生時代、二人は同級生で秋恵と言う友人と常に行動していた。三角関係の末に秋恵は自殺、まだ息があったが麻子は秋恵を見殺しにし彼女の遺書を持ち去った。エミリは内容を知らずに遺書を廃屋に隠し、青山が偶然見つけた。
 
しかし麻子と青山には更に因果関係が存在、エミリの父親は青山だった。麻子は結婚後に一度だけ青山と会っているが、その際レイプされて出来た子供がエミリだった。この事実を知った青山は麻子の前で自殺する。麻子は警察に青山を殺したのは私ですと伝えるが、目撃証人より自殺と判明。麻子はどうすれば4人に償えるのか途方に暮れる。
 
【捕捉】本作は犯人捜しがメインではありません。1つ目のポイントは麻子が4人に放った言葉で少女の人生を狂わせたこと(由佳のみ影響を受けていない)。罪の意識を持ち続けた少女は人生を転落していく。2つ目は少女たちに放った言葉が麻子に戻ってくる因果応報。3つ目は負の連鎖の起点が麻子で、連鎖を防ぐこともできていたこと(麻子が秋恵の遺書を処分していればエミリは生きており、更に学生時代に横恋慕しなければ秋恵も生きていた)。
 
表面的には犯人捜しのミステリーに思えますが、掘り下げると怖い内容の作品で、これぞ「湊かなえ=イヤミス」の本領発揮。このドラマは2回以上観て味が出ます。
 
良作の「イヤミス」を観たい人にお薦めします。