映画(邦165)小さいおうち 2014年作品/山田洋次監督ミステリー? | ビート・マンのブログ

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戦時中の秘め事

山田洋次色が出ているミステリー調の恋愛
 
原作:中島京子
監督:山田洋次
主演:黒木華(布宮タキ)
出演:松たか子(平井時子)
   :倍賞千恵子(布宮タキ/晩年)
   :吉岡秀隆(板倉正治)
   :妻夫木聡(荒井健史)
   :片岡孝太郎(平井雅樹)
山田監督の常連出演者で脇を固める不倫物語。
 
本作は2014年ベルリン国際映画祭で黒木華が女優賞を獲得した作品である。日本人で4人目で、23歳は日本人最年少となる。申し訳ありませんが、私が彼女を認識したのはこのニュースです。
 
物語は荒井健史(妻夫木聡)の叔母の家で遺品整理をしている時に、ノートを見つけたところから始まる。健史は生前の叔母に自叙伝を書くことを勧めており、その内容が書かれていた。ストーリーはこの自叙伝に沿って進行する。
 
この叔母が布宮タキ(倍賞千恵子)でノートに書かれた自叙伝は初めて女中として奉公に出て、その家の紹介で移った平井家での出来事が書かれていた。
 
赤い屋根のモダンな小さな家。時代は太平洋戦争に突入する前の満州事変頃。まだ幼顔のタキ(黒木華)は現在の歴史観からすると暗黒の時代と感じる頃だが、田舎から大都会東京へ移り、何もかもが希望に溢れる時期でもあった。
 
健史は生前のタキに、暗い時代で楽しい事などなかったのではと話すが、自叙伝は本人の感想が主体なので、タキは嘘は書いていないと否定する(途中までは健史も読んでいた)。
 
小さな家で唯一のスキャンダルが生じる。奉公先の妻・平井時子(松たか子)が、主人・平井雅樹(片岡孝太郎)の部下・板倉正治(吉岡秀隆)と出会ったことから、時子の心が徐々に乱れ始める。
 
時は既に太平洋戦争に突入しており、若者は続々と徴兵されたが、正治は体が弱い事もあり免除されていた。圧倒的な男性不足となった日本だが、戦争が長期化するにあたり、結婚できる男性は身を固め子供を作るべきとの風潮が高まった。
 
上司である雅樹は正治に見合いを勧めるが拒否。会社の取引先でもある女性なので妻の時子に説得を頼む。ここから正治と時子の関係が急速に進展するが、それに気付く者はいなかった。酒屋の主人を除けば。
 
戦争の長期化が出兵基準を変え、正治の元に召集令状が届く。そのことを知った時子は正治の出発日に会いに行くことを決断する。
 
タキは時子の異変に気付き行くのを止めるよう話す。そして激高した時子に「会いに行くのではなく、来てもらいましょう」と提案。手紙を書いてそれをタキが正治に渡すことを約束する。会いに来るかは正治に委ねましょうと説得し、時子は渋々承諾する。
 
正治は来なかった。
 
その後、東京空襲を受け平井夫婦は死亡し、赤い屋根の小さな家も焼失する。生き残ったのはタキと平井夫婦の子供だがバラバラになる。
 
自叙伝はここまでだが、健史は亡くなる前の叔母が泣いているのを目撃している。その時タキは「私は長く生き過ぎた」と語っていた。
 
自叙伝が書かれたノート以外に封された手紙が存在した。自分宛ての手紙ではないので開けずにいた健史だが、当時の関係者が生存している可能性を見つけ、恋人のユキ(木村文乃)と行動を起こす。
 
この行動で叔母が隠していた過去が明るみになる。何を隠し、ノートと一緒に存在した手紙は何なのか?山田洋次監督色がしっかり存在する映画に、ミステリー調の要素を加味した作品です。
 
「男はつらいよ」「家族はつらいよ」「幸福の黄色いハンカチ」「息子」他など、作れば話題や賞を取る監督の作品です。失望より希望を描く監督です。たまには観ても良いかもしれませんよ。
 
映画 小さいおうち 2014年公開(薦め度★★★☆☆