最強空手家を勝たせないよう介入した、極真総裁・大山倍達(後) | 時事問題・芸能・スポーツをGENG_TOCK(aka孔哲)が語る。テーマ別をクリック‼︎

時事問題・芸能・スポーツをGENG_TOCK(aka孔哲)が語る。テーマ別をクリック‼︎

複数のテーマで記事をアップしています。テーマ別をクリックして検索してください。

{02DA6FC8-7F9C-43CF-92B7-25D8DBE09496}
前項で、格闘技というものは、実戦性を追求するべきであり、それには実戦的なスパーリングを行い、さらに優劣を明確にする競技性を取り入れるべきだと書いた。そしてそうでないと、内向性が強くなり過ぎ、自己満足と欺瞞が生まれやすいということも述べた。
その弊害かは断言できないが、およそ昭和の武道家を称する人物は、プライドが高く許容が狭く、つまらない征服欲に囚われた人が多かった。今回取り上げたネットの記事では、そういったことの具体的事例が刻々と綴られている。

それらにまつわることで、私自身はリアルタイムに見聞した事実を書いておきたい。K-1や総合格闘技がブームの最中、キー局の深夜番組で、格闘技の選手と関係者の対談が放映された。出演者は、キックボクサーの立嶋篤史、極真空手の松井章桂氏、正道会館の石井和義館長と佐竹雅昭だったと思う。
まず、本稿の主旨と少しずれるが、女性タレント(話し方からして、あまり頭がよさそうでなかった)の立嶋に対する質問について書きたい。女性タレントは、軽量級のキックボクサーの立嶋に、「凄く大きな相手と戦うことになったらどうしますか?」と尋ねた。立嶋は、「僕は体が小さいから」とやりすごそうとすると、「どうしても戦わなくてはならなかったら」と食い下がる。立嶋は、「どこでですか?」と聞き返すが、女性タレントはその意味がわからず、同じことを繰り返す。立嶋は、「棒を使います」と答えた。つまり、競技では体重を合わせるべきで、ストリートならなんでもありということである。
さらに、格闘技の実戦性が話題になっていった。異なる格闘技で勝負を争う場合、共通のルールを規定すれば可能かと思うと松井氏が発言すると、司会者のアナウンサーが、「大山館長は、他流試合で目と金的ばかり狙っていたと言われてますが」と切り返す。松井氏は、「館長の場合はね、時代が違うですよ。もし、真剣で斬りかかられたら、君たちどうする。腕を一本上げてしまいなさいって言うんですよ」と松井氏がここまで言うと、突如佐竹が松井氏の発言を遮って、「まあまあ、グダグダ言うより、やったもん勝ちですよ」と言ったのである。松井氏は思わずにが笑い、場の空気は和やかに思えた。この話には、次のタイミングでCMが入ったので、佐竹は眠かっただけという憶測が囁かれるというオマケまでついた。
しかし、これを観ていた大山倍達が激怒。武道空手の極真と、スポーツ空手の正道会館を一緒にされては困るということで、正道会館を載せている専門誌は軒並み取材を拒否されることになる。
まず、武道に拘りスポーツを下に見るかのような、大山氏の時代錯誤の勘違いが痛かった。
また、一国一城の主人なら、この若武者の無頼ながら的を得た発言を笑って受け流すくらいの器が欲しかった。

大山倍達氏は、格闘技の一大革命を起こし、次の革命に対峙した矢先に他界した。しかし、仮にさらに長寿を全うしても、革命に順応し、新たな道を提示することはなかっただろう。