イースター島に見る文明崩壊
書籍「文明崩壊 -滅亡と存続の命運を分けるもの-」(ジャレド・ダイヤモンド著 草思社)によると、文明の崩壊を招く要因は5つあるとされています。
・ 環境被害
・ 気候変動
・ 近隣の敵対集団
・ 友好的な取引相手 (近隣諸国からの支援減少など)
・ 環境問題への社会の対応
この「文明崩壊」という本は、文明繁栄による環境負荷がやがては崩壊への契機を生み出すという主題で書かれており、多数の事例の1つにイースター島を扱っています。イースター島は上記の5つの要因のうち、環境被害と環境問題への社会の対応が当てはまる事例として取り上げられています。
今回の記事は、イースター島での文明崩壊について整理しています。(なお、記事内の画像は昨年にイースター島に訪れた時の現地の写真です)
■イースター島とモアイ像
イースター島での文明崩壊に触れる前に、簡単にイースター島について書いておきます。日本ではイースター島の名称が一般的ですが、現地語では「ラパ・ヌイ」と呼ばれています。チリ領に属し公用語はスペイン語。島の面積はおよそ160km²、人口は4000人ほどだそうです。
イースター島と言えば最も有名なものはモアイ像かと思いますが、実際に去年現地を訪れた印象もまさにその通りでした。島のいろんなところに立つ大小様々なモアイ像。高さは3~5m程度ですが、それでも目の前に立つと圧倒されてしまいます。最大もので高さが20mもあるそうです。(ちなみにこの20mモアイですが、ラノ・ララクというモアイの製造だった場所に現在もあるのですが、当時の製造途中のまま残っており立っているわけではありません)

現在、イースター島の主な産業は観光産業で、具体的にはホテルや民芸品、モアイに関するツアーガイドなどです。現地には数日間滞在しただけですが、短い時間で見た限りでは島の暮らしもそれほど悪いという印象はありませんでした。しかし、過去にはイースター島にあるモアイが内乱により全て倒され、大量の島民の集団死という状況に陥ったこともあるのです。
■イースター島における文明崩壊の経緯
前述の書籍「文明崩壊」のイースター島に対する記述はとても興味深いものでした。この本を読んだことが、イースター島に行ったきっかけの1つでもあります。
この本では、イースター島の文明崩壊のプロセスは次のように説明されています。
(1) 森林破壊
(2) 資源原料・野生食糧の欠乏および作物生産量の減少
(3) 飢餓や氏族同士の内乱による人口激減
(1) 森林破壊
イースター島のかつての姿は、亜熱帯性雨林の島だったようです。それが、人間の定住後に森林破壊が始まり、15世紀初頭から17世紀には、森林が丸ごと姿を消したうえ、全種の樹木が絶滅したとも言われています。絶滅した植物の多くは、島民にとって貴重な資源でした。住居への建築材料、薪やカヌーへの利用、そして一説にはモアイの製造や運搬にも大量の材木が必要であったとされています。
ではなぜ森林が消滅するほど破壊されてしまったのでしょうか。無計画な開発を続けた結果には違いないのですが、一方で「文明崩壊」では、「イースター島は太平洋において、最も脆弱な環境の中で、最も高い森林破壊のリスクを抱えていた」という特異な地理的要因を挙げています(p.188)。また、「イースター島は、孤島という条件のせいで避難という形の移住が不可能だったこと」、「島民の関心が石造の建設に集中していたことや氏族及び首長同士の競争によって、より大型の石造が建造されるようになり、より多くの木材、縄、食糧が必要とされたこと」も指摘しています(p.189)。
(2) 資源原料・野生食糧の欠乏および作物生産量の減少
森林破壊により、様々な影響が起こります。第一に、資源原料の欠乏です。樹木から得られる木・縄・(布を作るための)樹皮、鳥類から得られる羽などです。大型の木材や縄の不足により、モアイ像の運搬と設置だけではなく、航海用のカヌーの製造も終焉を迎えることになります。
第二には、野生食糧の欠乏および作物生産量の減少です。食糧となった魚類の数は減少していき、ヤシの実など野生の果実も島民の口に入らなくなったようです。野生の食糧源のうち、従来通りに手に入るのはネズミだけになります。また、森林破壊による土壌侵食により、作物の生産高が減少の一途をたどりました。
(3) 飢餓や氏族同士の内乱による人口激減
飢餓や頻発する内乱によって、ついにはイースター島の文明が崩壊するに至ります。もともと、氏族同士の争いは、お互いがより大きなモアイ像を建てることを意味していました。しかし、争いの中身が前述のような背景から、敵方のモアイ像を引きずり落とし、破壊することへ変わってしまったのです。
イースター島に訪れたヨーロッパ人が書き記したところによれば、立っているモアイ像の最後の記録は1838年であり、口承によれば最後にモアイ像が倒されたのは1840年ごろと言われています。
人口激減の状況は、「文明崩壊」には次のように書かれています。すなわち、島民のほぼ全員が住む沿岸地域の住居数は最盛期(1400~1600年)から1700年までに70%も減少してしまったようです(p.173)。これに伴い、人口数が大幅に減ってしまったことも容易に想像できます。
■現代文明の未来への警鐘として
以上のイースター島の歴史は、太平洋上のある小さな孤島における森林破壊に端を発した文明崩壊の極端な事例であると見なすこともできます。
しかし、書籍「文明崩壊」では、著者のジャレド・ダイヤモンド氏は「イースター島と総体として見た現代の地球との間には、共通点がある」と指摘しています。すなわち、地球を孤立した1つの星と見た場合には、イースター島の人々と同じように現代の世界では、グローバル化に伴う国際商取引、インターネットやジェット機などの移動手段の発展などにより、資源や意識を共有しているという共通点です。
イースター島民は、孤島であるが故に窮地に陥った時に逃げる場所や助ける相手がいませんでしたが、我々人間も地球人として考えると頼る先がないのです。
もちろん、相違点もあります。今後も発展するである科学技術は活用によっては地球を救う可能性もあると思います。イースター島の歴史を反面教師としてほしい、イースター島のモアイ像は雄大にそびえ立ちながらもそんなメッセージを投げかけているように感じました。

写真左上:Anakena にて
写真右上:Rano Raraku にて
写真右下:Ahu Tongariki にて
※参考情報
Wikipedia (イースター島)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%B3%B6
Wikipedia (モアイ像)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%A2%E3%82%A4
・ 環境被害
・ 気候変動
・ 近隣の敵対集団
・ 友好的な取引相手 (近隣諸国からの支援減少など)
・ 環境問題への社会の対応
この「文明崩壊」という本は、文明繁栄による環境負荷がやがては崩壊への契機を生み出すという主題で書かれており、多数の事例の1つにイースター島を扱っています。イースター島は上記の5つの要因のうち、環境被害と環境問題への社会の対応が当てはまる事例として取り上げられています。
今回の記事は、イースター島での文明崩壊について整理しています。(なお、記事内の画像は昨年にイースター島に訪れた時の現地の写真です)
■イースター島とモアイ像
イースター島での文明崩壊に触れる前に、簡単にイースター島について書いておきます。日本ではイースター島の名称が一般的ですが、現地語では「ラパ・ヌイ」と呼ばれています。チリ領に属し公用語はスペイン語。島の面積はおよそ160km²、人口は4000人ほどだそうです。
イースター島と言えば最も有名なものはモアイ像かと思いますが、実際に去年現地を訪れた印象もまさにその通りでした。島のいろんなところに立つ大小様々なモアイ像。高さは3~5m程度ですが、それでも目の前に立つと圧倒されてしまいます。最大もので高さが20mもあるそうです。(ちなみにこの20mモアイですが、ラノ・ララクというモアイの製造だった場所に現在もあるのですが、当時の製造途中のまま残っており立っているわけではありません)

現在、イースター島の主な産業は観光産業で、具体的にはホテルや民芸品、モアイに関するツアーガイドなどです。現地には数日間滞在しただけですが、短い時間で見た限りでは島の暮らしもそれほど悪いという印象はありませんでした。しかし、過去にはイースター島にあるモアイが内乱により全て倒され、大量の島民の集団死という状況に陥ったこともあるのです。
■イースター島における文明崩壊の経緯
前述の書籍「文明崩壊」のイースター島に対する記述はとても興味深いものでした。この本を読んだことが、イースター島に行ったきっかけの1つでもあります。
この本では、イースター島の文明崩壊のプロセスは次のように説明されています。
(1) 森林破壊
(2) 資源原料・野生食糧の欠乏および作物生産量の減少
(3) 飢餓や氏族同士の内乱による人口激減
(1) 森林破壊
イースター島のかつての姿は、亜熱帯性雨林の島だったようです。それが、人間の定住後に森林破壊が始まり、15世紀初頭から17世紀には、森林が丸ごと姿を消したうえ、全種の樹木が絶滅したとも言われています。絶滅した植物の多くは、島民にとって貴重な資源でした。住居への建築材料、薪やカヌーへの利用、そして一説にはモアイの製造や運搬にも大量の材木が必要であったとされています。
ではなぜ森林が消滅するほど破壊されてしまったのでしょうか。無計画な開発を続けた結果には違いないのですが、一方で「文明崩壊」では、「イースター島は太平洋において、最も脆弱な環境の中で、最も高い森林破壊のリスクを抱えていた」という特異な地理的要因を挙げています(p.188)。また、「イースター島は、孤島という条件のせいで避難という形の移住が不可能だったこと」、「島民の関心が石造の建設に集中していたことや氏族及び首長同士の競争によって、より大型の石造が建造されるようになり、より多くの木材、縄、食糧が必要とされたこと」も指摘しています(p.189)。
(2) 資源原料・野生食糧の欠乏および作物生産量の減少
森林破壊により、様々な影響が起こります。第一に、資源原料の欠乏です。樹木から得られる木・縄・(布を作るための)樹皮、鳥類から得られる羽などです。大型の木材や縄の不足により、モアイ像の運搬と設置だけではなく、航海用のカヌーの製造も終焉を迎えることになります。
第二には、野生食糧の欠乏および作物生産量の減少です。食糧となった魚類の数は減少していき、ヤシの実など野生の果実も島民の口に入らなくなったようです。野生の食糧源のうち、従来通りに手に入るのはネズミだけになります。また、森林破壊による土壌侵食により、作物の生産高が減少の一途をたどりました。
(3) 飢餓や氏族同士の内乱による人口激減
飢餓や頻発する内乱によって、ついにはイースター島の文明が崩壊するに至ります。もともと、氏族同士の争いは、お互いがより大きなモアイ像を建てることを意味していました。しかし、争いの中身が前述のような背景から、敵方のモアイ像を引きずり落とし、破壊することへ変わってしまったのです。
イースター島に訪れたヨーロッパ人が書き記したところによれば、立っているモアイ像の最後の記録は1838年であり、口承によれば最後にモアイ像が倒されたのは1840年ごろと言われています。
人口激減の状況は、「文明崩壊」には次のように書かれています。すなわち、島民のほぼ全員が住む沿岸地域の住居数は最盛期(1400~1600年)から1700年までに70%も減少してしまったようです(p.173)。これに伴い、人口数が大幅に減ってしまったことも容易に想像できます。
■現代文明の未来への警鐘として
以上のイースター島の歴史は、太平洋上のある小さな孤島における森林破壊に端を発した文明崩壊の極端な事例であると見なすこともできます。
しかし、書籍「文明崩壊」では、著者のジャレド・ダイヤモンド氏は「イースター島と総体として見た現代の地球との間には、共通点がある」と指摘しています。すなわち、地球を孤立した1つの星と見た場合には、イースター島の人々と同じように現代の世界では、グローバル化に伴う国際商取引、インターネットやジェット機などの移動手段の発展などにより、資源や意識を共有しているという共通点です。
イースター島民は、孤島であるが故に窮地に陥った時に逃げる場所や助ける相手がいませんでしたが、我々人間も地球人として考えると頼る先がないのです。
もちろん、相違点もあります。今後も発展するである科学技術は活用によっては地球を救う可能性もあると思います。イースター島の歴史を反面教師としてほしい、イースター島のモアイ像は雄大にそびえ立ちながらもそんなメッセージを投げかけているように感じました。

写真左上:Anakena にて
写真右上:Rano Raraku にて
写真右下:Ahu Tongariki にて
※参考情報
Wikipedia (イースター島)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%B3%B6
Wikipedia (モアイ像)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%A2%E3%82%A4
文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)
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文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)
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音楽配信サービスの新潮流
音楽配信サービスはiTuensを中心とするダウンロード型が主流でしたが、ストリーミング型やソーシャル型など新しい動きが見られます。今回の記事では、そのへんの状況を整理してみました。
■ダウンロード型音楽サービス
米Wall Street Journalが10年6月21日(現地時間)に報じた記事によると、Googleが今年末にも音楽ダウンロードサービスの提供に向けて準備しているとのことです。ただ、記事でもvague(漠然とした)とあるように、どのレコードレーベルと契約がなされるかやサービス内容はまだ明らかになってはいません。関係者の話では、Webだけではなくアンドロイド端末へのサービス提供を目指しているそうです。この動きは、音楽サービスにおいてもiTunesをもつアップルとの競争が激しくなることを予感させます。
iTunesの仕組みを簡単に整理してみると、次のようになります。
・ 音楽をiTunes StoreからダウンロードしたりCDから自分のPCへ取り込む
・ 聞きたい曲をPC上のiTunesからiPodやiPhoneに同期させる
■ストリーミング型音楽サービス
このように、iTunesに代表される音楽ダウンロードサービスでは、音楽を自分のPC内などでデータとして所有しています。一方で、ダウンロード型とは発想が180度異なる音楽サービスに、ストリーミング型音楽配信というものがあります。このストリーミング型の特徴は以下のようになります。
・ 音楽はデータセンター上に存在する
・ 利用者はデータセンターにアクセスし音楽を再生させて聴く
iTunesなどと決定的に異なるのは、PC内に音楽を保存することはなしに音楽を聴く点です。いわゆるクラウドコンピューティングの仕組みを使った音楽配信サービスです。
ストリーミング型の音楽配信サービスの例として、ヨーロッパにはSpotify(スポティファイ)があります。サービス開始の2008年からわずか1年半で利用者は800万人に達したようです。日経ビジネスオンラインによると、スポティファイはへはユニバーサル・ミュージック、ソニー・ミュージックエンタテインメント、EMI、ワーナーミュージックの4大レコード会社などが楽曲提供に応じており、最新のヒット曲からクラシックまで、800万曲を超える楽曲が提供されているようです。
スポティファイのサイトを見てみると、利用できる機器はパソコンの他にも、ネット接続が可能なスマートフォンであれば、ノキア、サムスン電子、ブラックベリー、iPhoneなど主要な機種にも対応していることが確認できます。
料金プランは数曲ごとに広告が挿入される無料サービス以外にも、広告挿入のない月額4.99ポンドや月額9.99ポンドの有料サービスもあります。ちなみに月額9.99ポンドを支払い「プレミアム会員」にならないとスマートフォンでの利用ができないようです。また、プレミアム会員限定のサービスとして、音質も向上するほか、地下鉄等のネットが接続できないオフライン環境においても音楽が聴くことができるようです。
ただ残念なのは、現在スポティファイを使用できるのはイギリス、スウェーデン、フランス、スペイン、フィンランド、ノルウェーだけなようで、日本では利用できません。
■ソーシャル型音楽サービス
このスポティファイですが、今年の4月27日のニュースリリースに、友人と音楽を通してつながりを強化するためのソーシャル機能(Spotify Music Profile)を追加するバージョンアップの実施を発表しています。ニュースリリースによると、Facebookと連携することにより、友人と音楽を共有できるようになるようです。これは、友人たちの間で流行っている曲を知ったり、自分の好きな曲を紹介できたりと、音楽というコンテンツを通じて情報交換を強化できる仕組みだと思います。
もう一つ、ソーシャル音楽サービスとしておもしろそうなのは、Skype(スカイプ)創業者が新たに立ち上げた「Rdio」です。ストリーミングを軸とした音楽配信サービスで、PCのほか、iPhone、ブラックベリーなどにも対応しています。注目したいのは、こちらもソーシャル機能を持っていることです。Rdioでは自分のコレクション、作成したプレイリスト、最近聴いた曲、頻繁に聴く曲やアルバムが全て他のメンバーに公開できるとともに、他のメンバーを、ツイッターのようにフォローする機能があります。
■課題とか
ストリーミング型の音楽配信、音楽のソーシャル機能など、これからも気になるサービスですが、一方で普及するためには課題もあると思います。
まずは著作権です。ストリーミング型の配信というのはもはや音楽を「所有」せずに、クラウド上の音楽を聴くサービスです。ソーシャル機能が追加されても同様で、友人同士で音楽を共有する時にもこれまでであれば音楽をコピーしていましたが、そのコピーももはや不要です。従来の著作権の枠を超えたもので、著作権の考え方が変わる可能性があるかもしれません。
ボトルネックになりそうなのは通信インフラです。スポティファイのような音楽ストリーミングで気になるのは、聴いている音楽の音がとぎれてしまわないかということです。これはダウンロード型にはない弱みです。音がとぎれないためにも、通信環境はWi-Fiが必須ではないでしょうか。私は現在iPhoneを使っていますが、家ではWi-Fi、外では3GSでの通信となっています。理想は屋外でもWi-Fiを使いたいのですが、使える場所が本当に少ないです。スタバでも使え、ミニストップでも使えるようになるようですが、まだまだ少なく仕方なく3GSを使っている状況です。
音楽というのは個人の趣向がよく表れる要素だと思います。自分のプレイリストを公開することで同じような音楽への好みをもつ人たちとつながることができます。これって、一人一人が音楽の聴き手であると同時に自分の好きな音楽を配信するDJのような存在でもあり、今までになかった音楽の発見や楽しみが広がる気がします。
※参考情報
Google Plans Music Service Tied to Search Engine (Wall Street Journal)
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704895204575321560516305040.html
欧州発! ビジネス最前線 “iチューンズ殺し”の衝撃 (日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100603/214766/
Spotify (スポティファイ)
http://www.spotify.com/
スポティファイのニュースリリース (ソーシャル機能追加)
http://www.spotify.com/int/about/press/spotify-launches-next-generation-music-platform/
■ダウンロード型音楽サービス
米Wall Street Journalが10年6月21日(現地時間)に報じた記事によると、Googleが今年末にも音楽ダウンロードサービスの提供に向けて準備しているとのことです。ただ、記事でもvague(漠然とした)とあるように、どのレコードレーベルと契約がなされるかやサービス内容はまだ明らかになってはいません。関係者の話では、Webだけではなくアンドロイド端末へのサービス提供を目指しているそうです。この動きは、音楽サービスにおいてもiTunesをもつアップルとの競争が激しくなることを予感させます。
iTunesの仕組みを簡単に整理してみると、次のようになります。
・ 音楽をiTunes StoreからダウンロードしたりCDから自分のPCへ取り込む
・ 聞きたい曲をPC上のiTunesからiPodやiPhoneに同期させる
■ストリーミング型音楽サービス
このように、iTunesに代表される音楽ダウンロードサービスでは、音楽を自分のPC内などでデータとして所有しています。一方で、ダウンロード型とは発想が180度異なる音楽サービスに、ストリーミング型音楽配信というものがあります。このストリーミング型の特徴は以下のようになります。
・ 音楽はデータセンター上に存在する
・ 利用者はデータセンターにアクセスし音楽を再生させて聴く
iTunesなどと決定的に異なるのは、PC内に音楽を保存することはなしに音楽を聴く点です。いわゆるクラウドコンピューティングの仕組みを使った音楽配信サービスです。
ストリーミング型の音楽配信サービスの例として、ヨーロッパにはSpotify(スポティファイ)があります。サービス開始の2008年からわずか1年半で利用者は800万人に達したようです。日経ビジネスオンラインによると、スポティファイはへはユニバーサル・ミュージック、ソニー・ミュージックエンタテインメント、EMI、ワーナーミュージックの4大レコード会社などが楽曲提供に応じており、最新のヒット曲からクラシックまで、800万曲を超える楽曲が提供されているようです。
スポティファイのサイトを見てみると、利用できる機器はパソコンの他にも、ネット接続が可能なスマートフォンであれば、ノキア、サムスン電子、ブラックベリー、iPhoneなど主要な機種にも対応していることが確認できます。
料金プランは数曲ごとに広告が挿入される無料サービス以外にも、広告挿入のない月額4.99ポンドや月額9.99ポンドの有料サービスもあります。ちなみに月額9.99ポンドを支払い「プレミアム会員」にならないとスマートフォンでの利用ができないようです。また、プレミアム会員限定のサービスとして、音質も向上するほか、地下鉄等のネットが接続できないオフライン環境においても音楽が聴くことができるようです。
ただ残念なのは、現在スポティファイを使用できるのはイギリス、スウェーデン、フランス、スペイン、フィンランド、ノルウェーだけなようで、日本では利用できません。
■ソーシャル型音楽サービス
このスポティファイですが、今年の4月27日のニュースリリースに、友人と音楽を通してつながりを強化するためのソーシャル機能(Spotify Music Profile)を追加するバージョンアップの実施を発表しています。ニュースリリースによると、Facebookと連携することにより、友人と音楽を共有できるようになるようです。これは、友人たちの間で流行っている曲を知ったり、自分の好きな曲を紹介できたりと、音楽というコンテンツを通じて情報交換を強化できる仕組みだと思います。
もう一つ、ソーシャル音楽サービスとしておもしろそうなのは、Skype(スカイプ)創業者が新たに立ち上げた「Rdio」です。ストリーミングを軸とした音楽配信サービスで、PCのほか、iPhone、ブラックベリーなどにも対応しています。注目したいのは、こちらもソーシャル機能を持っていることです。Rdioでは自分のコレクション、作成したプレイリスト、最近聴いた曲、頻繁に聴く曲やアルバムが全て他のメンバーに公開できるとともに、他のメンバーを、ツイッターのようにフォローする機能があります。
■課題とか
ストリーミング型の音楽配信、音楽のソーシャル機能など、これからも気になるサービスですが、一方で普及するためには課題もあると思います。
まずは著作権です。ストリーミング型の配信というのはもはや音楽を「所有」せずに、クラウド上の音楽を聴くサービスです。ソーシャル機能が追加されても同様で、友人同士で音楽を共有する時にもこれまでであれば音楽をコピーしていましたが、そのコピーももはや不要です。従来の著作権の枠を超えたもので、著作権の考え方が変わる可能性があるかもしれません。
ボトルネックになりそうなのは通信インフラです。スポティファイのような音楽ストリーミングで気になるのは、聴いている音楽の音がとぎれてしまわないかということです。これはダウンロード型にはない弱みです。音がとぎれないためにも、通信環境はWi-Fiが必須ではないでしょうか。私は現在iPhoneを使っていますが、家ではWi-Fi、外では3GSでの通信となっています。理想は屋外でもWi-Fiを使いたいのですが、使える場所が本当に少ないです。スタバでも使え、ミニストップでも使えるようになるようですが、まだまだ少なく仕方なく3GSを使っている状況です。
音楽というのは個人の趣向がよく表れる要素だと思います。自分のプレイリストを公開することで同じような音楽への好みをもつ人たちとつながることができます。これって、一人一人が音楽の聴き手であると同時に自分の好きな音楽を配信するDJのような存在でもあり、今までになかった音楽の発見や楽しみが広がる気がします。
※参考情報
Google Plans Music Service Tied to Search Engine (Wall Street Journal)
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704895204575321560516305040.html
欧州発! ビジネス最前線 “iチューンズ殺し”の衝撃 (日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100603/214766/
Spotify (スポティファイ)
http://www.spotify.com/
スポティファイのニュースリリース (ソーシャル機能追加)
http://www.spotify.com/int/about/press/spotify-launches-next-generation-music-platform/
ローカリズムのグローバル化
■まとめ
今回の記事のまとめです。
・ 企業のグローバル化には3段階ある
・ 中国での賃上げ労働争議と海外の人材登用
・ ローカリズムのグローバル化とは
■3段階の企業のグローバル化
NTTドコモの「iモード」を立ち上げた一人でもある夏野剛氏は、著書「夏野流 脱ガラパゴスの思考法」(ソフトバンククリエイティブ)において、企業のグローバル化には次のように3段階あるとしています。
(1)国内製造輸出型
*グローバルマーケットはあくまで売り先の市場としか考えていない
*経営体制や企業哲学などはグローバル化していない場合がほとんど
(2)製造拠点のグローバル化
*人件費などの製造コストの低減のために工場を海外に移す
*日本国内のやり方、哲学を海外に移転しようとする
(3)グローバル企業化
*一部本社機能も必要に応じて海外に移すことも厭わない
*経営体制や企業哲学は世界で通用する、世界中の従業員を動かす独自性が要求される
■中国での賃上げをめぐる労働争議
ここ最近気になる出来事として、中国で賃上げをめぐる労働争議やストが相次いでいるニュースをよく目にします。中国の消費者物価指数(CPI)が上昇する一方で、賃金が据え置かれたままの状況では、相対的には減収しているようにも感じられ労働者の不満が労働争議につながるというのもわかる気がします。
ただ、日経新聞の10年6月27日の朝刊国際面の記事では、「一連の労働争議の根本的な問題は労組。労組のあり方を変えない限り、スト問題は解決しない」(北京の日系企業幹部)と報じています。というのも、工場に労組があったとしても、共産党や企業経営者寄りで従業員の賃上げ交渉の受け皿になっていないためだそうです。この記事では、「”労働争議が中国進出リスク”と言われるようになれば、長い目で見ればマイナス」であると懸念しています。
■海外の人材登用
そんな中、コマツが2012年までに、中国にある主要子会社16社の経営トップ全員を中国人にする方針を決めたようです(日経10年6月29日朝刊)。コマツ以外にも、海外の人材を積極に登用している例として、トヨタ自動車、伊藤忠商事、資生堂、花王などが取り上げられていました。
日本企業では人事異動の一環として日本人が数年間、現地法人のトップや幹部を務める例が多いようですが、現地市場に精通した人材を積極登用して権限を委譲し、経営の意思決定を速めるのがコマツの狙いのようです。記事では、「中国で相次ぐ日系工場でのストライキの背景には現場の社員との対話不足も指摘され、経営層の現地化を求める声がある。現地生え抜きの人材が要職につけば社員の意欲向上にもつながる」と期待しています。
■ローカリズムのグローバル化
フジサンケイビジネスアイの「論風」に、グローバル企業のマネジメントについてのある記事が掲載されました。投稿者である日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)会長の田下憲雄氏によると、中国市場に進出する日本企業の重要課題として以下のポイントを挙げています。
・ 「マネジメントの現地化」と、それを可能にする人材の確保と育成
・ そのための仕組みの構築と、それをサポートする日本人人材の育成
同氏の言う 「マネジメントの現地化」とは、経営にかかわる重要な意思決定をローカルの経営者と社員に任せ、投資回収の責任を委ねること。すなわち、様々なリスクに対して迅速かつ的確な判断を行いながら、事業を創造することができるのはローカル人材だと認識し、そうした人材の確保・育成に取り組むことであると説明されています。
従来の日本企業の課題は、海外で活躍できる日本人を確保・育成することだと言われていましたが、このように中国そしてアジアの現地人材をグローバル人材として育成することも必要で、そのための日本人人材の育成も課題になってきそうです。この状況について田下氏は、「ビジネスを本当に成功させることができるのは、ローカリズムとローカル人材をグローバル化することに成功したときではないか」という言葉で表現しています。
■最後に
冒頭で企業のグローバル化を3段階で見た時に、少しずつですが、「(2)製造拠点のグローバル化」から「(3)グローバル企業化」に変わってきていることを感じます。世界の情報がこれだけ瞬時に伝わる状況の中、今後は日本人だけで現地法人を運営することがリスクになってきそうです。
そうなると、販売やマーケティングにおいても日本国内の考え方だけではなく、現地の事情や国民性に合わせた展開を考える必要があるのかもしれません。
※参考情報
【論風】インテージ社長・田下憲雄 グローバル化とマネジメントの現地化
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100312/bsg1003120501001-n1.htm
今回の記事のまとめです。
・ 企業のグローバル化には3段階ある
・ 中国での賃上げ労働争議と海外の人材登用
・ ローカリズムのグローバル化とは
■3段階の企業のグローバル化
NTTドコモの「iモード」を立ち上げた一人でもある夏野剛氏は、著書「夏野流 脱ガラパゴスの思考法」(ソフトバンククリエイティブ)において、企業のグローバル化には次のように3段階あるとしています。
(1)国内製造輸出型
*グローバルマーケットはあくまで売り先の市場としか考えていない
*経営体制や企業哲学などはグローバル化していない場合がほとんど
(2)製造拠点のグローバル化
*人件費などの製造コストの低減のために工場を海外に移す
*日本国内のやり方、哲学を海外に移転しようとする
(3)グローバル企業化
*一部本社機能も必要に応じて海外に移すことも厭わない
*経営体制や企業哲学は世界で通用する、世界中の従業員を動かす独自性が要求される
■中国での賃上げをめぐる労働争議
ここ最近気になる出来事として、中国で賃上げをめぐる労働争議やストが相次いでいるニュースをよく目にします。中国の消費者物価指数(CPI)が上昇する一方で、賃金が据え置かれたままの状況では、相対的には減収しているようにも感じられ労働者の不満が労働争議につながるというのもわかる気がします。
ただ、日経新聞の10年6月27日の朝刊国際面の記事では、「一連の労働争議の根本的な問題は労組。労組のあり方を変えない限り、スト問題は解決しない」(北京の日系企業幹部)と報じています。というのも、工場に労組があったとしても、共産党や企業経営者寄りで従業員の賃上げ交渉の受け皿になっていないためだそうです。この記事では、「”労働争議が中国進出リスク”と言われるようになれば、長い目で見ればマイナス」であると懸念しています。
■海外の人材登用
そんな中、コマツが2012年までに、中国にある主要子会社16社の経営トップ全員を中国人にする方針を決めたようです(日経10年6月29日朝刊)。コマツ以外にも、海外の人材を積極に登用している例として、トヨタ自動車、伊藤忠商事、資生堂、花王などが取り上げられていました。
日本企業では人事異動の一環として日本人が数年間、現地法人のトップや幹部を務める例が多いようですが、現地市場に精通した人材を積極登用して権限を委譲し、経営の意思決定を速めるのがコマツの狙いのようです。記事では、「中国で相次ぐ日系工場でのストライキの背景には現場の社員との対話不足も指摘され、経営層の現地化を求める声がある。現地生え抜きの人材が要職につけば社員の意欲向上にもつながる」と期待しています。
■ローカリズムのグローバル化
フジサンケイビジネスアイの「論風」に、グローバル企業のマネジメントについてのある記事が掲載されました。投稿者である日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)会長の田下憲雄氏によると、中国市場に進出する日本企業の重要課題として以下のポイントを挙げています。
・ 「マネジメントの現地化」と、それを可能にする人材の確保と育成
・ そのための仕組みの構築と、それをサポートする日本人人材の育成
同氏の言う 「マネジメントの現地化」とは、経営にかかわる重要な意思決定をローカルの経営者と社員に任せ、投資回収の責任を委ねること。すなわち、様々なリスクに対して迅速かつ的確な判断を行いながら、事業を創造することができるのはローカル人材だと認識し、そうした人材の確保・育成に取り組むことであると説明されています。
従来の日本企業の課題は、海外で活躍できる日本人を確保・育成することだと言われていましたが、このように中国そしてアジアの現地人材をグローバル人材として育成することも必要で、そのための日本人人材の育成も課題になってきそうです。この状況について田下氏は、「ビジネスを本当に成功させることができるのは、ローカリズムとローカル人材をグローバル化することに成功したときではないか」という言葉で表現しています。
■最後に
冒頭で企業のグローバル化を3段階で見た時に、少しずつですが、「(2)製造拠点のグローバル化」から「(3)グローバル企業化」に変わってきていることを感じます。世界の情報がこれだけ瞬時に伝わる状況の中、今後は日本人だけで現地法人を運営することがリスクになってきそうです。
そうなると、販売やマーケティングにおいても日本国内の考え方だけではなく、現地の事情や国民性に合わせた展開を考える必要があるのかもしれません。
※参考情報
【論風】インテージ社長・田下憲雄 グローバル化とマネジメントの現地化
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100312/bsg1003120501001-n1.htm


