ワシントン州で診療をしているライム病治療第一人者のひとりのドクター・.クリングハートは、

 

「私が大学時代に医学部で習ったライム病についての知識は、

 

実際の診断や治療には役に立たなかった。」と言っています。

 

ライム病に関しては、専門医でないと知識不足で治療が難しいどころか、

 

患者に対する理解を得られないケースも数多くあります。 

 

ドキュメンタリー映画の 「Under Our Skin」 を観ると、

 

「何人もの医者にかかったのに、原因がわからないばかりか仮病扱いされました。 

 

身体の痛みじゃなくて、アタマがそう思いたいだけなんだろう。 

 

君はきれいだから、もっと周囲の注目がほしくてする演技じゃないの?

 

って言われたんです!」

 

と涙ながらに訴える患者が出てきますが、そういう人たちは実際に後を絶たないのです。 

 

(Under Our Skin のトレイラー)

https://www.youtube.com/watch?v=Bs_mTckhMyE

 

 

通常ライム病は、70~80%の患者が短期の抗生物質の投与で回復します。 

 

しかし残った20~30%の患者は慢性に移行し、長期にわたって苦しみが持続します。 

 

ライム病は、ボレリア菌を保菌しているダニに咬まれて発症しますが、

 

その時に目玉おやじのような ”ブルズ・アイ・ラッシュ” (Bull's Eye Rash) と呼ばれる

 

独特な腫れ方をすると、即時にライム病に罹患したと診断されます。 

 

(Bull's Eye Rash)

 

しかしながらこのブルズ・アイ・ラッシュは、

 

ライム病に罹った30%程度の人にしか表れず(私の専門医の患者の中では15%)、

 

あとはただ赤く腫れる人もいれば、ダニに咬まれたことに気が付かない人もいます。 

 

運よく知識と経験のある良心的な専門医を見つけて、

 

適切な診断と治療を受けられればいいのですが、

 

そうでないと、原因不明の難病として何年も苦しむことになります。 

 

ドクター・.クリングハートのクリニックを訪れる患者は、

 

彼のところにたどり着くまでに、平均21人の他の医師の診察を受けているそうです。

 

どれだけライム病の診断が難しいのが想像できますよね。

 

私の住んでいるアメリカの東北部で、ライム病の主な原因となる DeerTick (マダニ)は、

 

採集場所によって異なりますが、

 

全体の40%から60%のダニが病原菌を持っていると言われています。