Theory for golf club
ちょいとネタにしたように、クラブの新製品開発にメーカーが独自の理論を盛んに展開していた時代があった。でも、その多くはマーケティングワードであって、大学の物理で難解な公式を羅列されて丸暗記する理論とは違う。
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でも、ブログ主的な興味の範疇で、そりゃ確かに理論だねってぇのもある。スポルディングが一時期アイアンのバックデザインにまで刻印し、時にはモデル名ともなったのがMV2。これはエネルギーの法則の一つで、Mとはマス、すなわち質量で言い換えるなら重さ。Vとは何の略だか気にした事はありませんが、速度の事。ってぇ事で、エネルギーの定義は曖昧なままに、ゴルフクラブのヘッドに最大限のエネルギーを発揮させようとするなら、ヘッドの重量に速度の二乗を掛け合わせる事で計算できるというわけだ。
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とても明瞭な計算式でも、古来ヘッドの重量ってぇのは振り回す者が扱える範囲と言うのがあって、一定の幅に収めておくべきもの。ってんで、軽いクラブでビュンとすればヘッドスピードが上がって飛距離が出るってぇ流行りもあったわけだ。何しろ速度は二乗なわけで、ヘッドの重量を限界まで増やすよりもインパクトのエネルギーを増大する事も出来たってわけだ。
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でも、ふと視野を広げてみると例えばダグサンダースのクラブ。フェアウェイのピーコックとして派手なウェアでトーナメントを盛り上げた元祖ですが、実は体の不調で作り上げたコンパクトなスイングを世間では電話ボックススイングと称して、多くの素人が真似た時代がある。今では見かけなくなりましたが、電話ボックスの中でもスイングできると表現されたコンパクトさが特徴で、脊椎に問題のあるプロが編み出した独特のスタイル。
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そのネームの冠されたアイアンクラブは、とんでもなく重くてすべてがEバランスだった。つまりはMV2の理論で言うなら、スピードを上げるには体の限界があるので、振り回す限界に近いヘッドの質量で、パンチショットの様にスイングしていたわけだ。当時の流行を解説する記事を今に見直しても、そんなこたぁどこにも記述されていませんが、ダグサンダースが脊椎の問題を語っていなかったからかもしれません。一方で、Bバランスをはじめとした軽量モデルが登場するのは80年代半ばごろにバナジウムシャフトが登場した頃と重なる。ついでに、ここの所ネタにしていたプレシジョンシャフトの振動数理論も影響したようで、80年代前半には洋物が軽量ヘッドを登場させると、すぐに国産メーカーもそれに倣った。とにかく軽いクラブをビュンと振ってヘッドスピードを上げ、飛距離を稼ごうという流行り。
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ブログ主の範疇ではマクレガーやラムにも本来はマッスルなバックデザインである部分を大きくえぐって重量を軽くしたモデルもあった。これにバナジウムのシャフトを組み合わせるなら標準でCバランスになり、行きつくところBバランスまで軽くなった。ってぇこって、ここの所のネタからすると、バランス何ぞどうでもよくて、振動数がスタイルに合致するなら心地よく振り回せたわけ。
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でも、ナイトキャップに見かけたのはせっかくえぐられたアイアンブレードに再びナマリを張り込んで、標準的なマッスルヘッドと何ら変わらない様に調整していたプロもいたし、マクレガーのシンクロライトというモデルにも、標準的なバランスに仕上げられたバリエーションも用意された。どれも学術的な法則に従って一度は注目を浴びたモデル達ですが、例によって今には残っていない。
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結局は一般に受け入れられる最大公約数のアイデアではなかったわけで、でも、シャフトはスチールでも軽量が標準の現代。十人十色、百人百様のスイングスタイルには一つの法則では対応できるわけもないって当たり前の事をネタにしてみました。