
最近の工房さんでは振動数計測器なんてぇのは備えられているのでしょうか。ブログ主が出入りする工房さんは、結果的に古いクラブをいじることができる職人工房さんばかりですが、その長いキャリアの中で、その計測器が必要とされた時代は80年代から90年代の事。
プレシジョンが登場した80年代初めのころの事で、多くのサンデーゴルファーがそれを気にするようになってからの事。84年の印刷メディアの記事にはプレシジョンの登場で、これからは振動数管理が主流になるなんて評論家さんの記事があった。そこにはあるプロのクラブを計測したところ、セット内のバランスはめちゃくちゃ。にもかかわらずプロは全く気にすることなく自在に使っていたらしい。
話を聞くなら、新しいクラブを使ってなんだかおかしければナマリを張る。それでもダメなら穴をあけ削ったりする。つまりヘッドの重さを変えて感性にピタリと合うセットにするモノの事。結果スイングバランスは滅茶苦茶になったらしい。この振動数のセオリーが登場するまでは、総重量とスイングバランスが整えられたクラブこそが精度が高いと言い切っていた評論家さんは、このプロの例を挙げて振動数を揃えた結果であると断じた。きっとそれまではこのプロの事を繊細な感覚のない輩としていたにも関わらず、振った感性を整えていたのは振動数を合わせていたのだと言い切る。
つまりはプレシジョンの登場までは未知の領域だった感覚というものが、一つの数字の計測で明らかになったとの事。までも、この当時はそれだけセンセーショナルだったのかも知れませんが、83年にはダイナミックもダイナミックゴールドになり、重量別管理を細分化した。数年後にはダイナミックも振動数管理をしていますという広告を出し、評論家の記事の通りに振動数が業界を一新した。ここで気にしてみるのは、このプロの様にバランスなんかどうでもいいというところ。こないだのヘイグウルトラの二鉄。簡易計測ではC6程度でも、D0のセット物と振り回しても同じ感覚で振り回せた。さすがに振動数を素人が計測するには工房へ持ち込むしか方法はない。
時にレンジでは、ご自由にお使いくださいってぇバランス計測器を見る事はありますが、振動数計測器はあったとしても工房の中。現代のシャフトは特にカーボンならその機能に焦点が置かれ、古来のスペックなんてぇのはカタログにも載らない事が多い。現代スチールにしても、軽量化が主眼で時にベントポイントをデザインするってな解説がある程度。
今はトゥルーテンパーの傘下になったプレシジョンが振動数由来のモデル名を残していますが、頂いたシャフトの様に6.0ならSRと言った、分かりやすくも伝統的な表示を並記するようになった。具体的な数字はわからないままに、ウッドの様な長いシャフトなら、腰の前あたりで左手はグリップを持ち、右手でシャフトのグリップ下あたりを持って、ブルンブルンと振動させてみるとシャフトの硬さが体感できる。ただし、短いアイアンになると敏感な感覚の持ち主でもそんなアナログな方法じゃわかるもんじゃない。
ならば重量と振動数の両方をデザインすればいいじゃんと考えるのですが、それって設計生産するには難しいらしい。振動数管理では手元が重くなり、振動をつかさどるチップ側は軽くなる傾向があるらしい。でも、あくまでそれはシャフト単体での話。組み合わせるヘッドの重さによって重ければゆっくり振動し、その数字は減るし、軽ければ振動数は増える。ってんで複雑なことになるわけだ。まぁ、ブログ主の感覚がやっと84年の最新理論に追いついたというところでしょうかね。40年前かぁ。