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マイスター制度というのは世界史にあったゲルマン文化の中に生まれた制度。日本語で言うなら徒弟制度と訳されますが、政策によるものと民間に生まれたという背景に大きな違いがある。
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政策による制度は城壁で囲まれた街の発展のために特殊技術を習得した職人をマイスターとして認定し、技術の流出を防ぎながら町の財産として産業を発展させた。一方で民間の背景には人手が足りない職人工房が、丁稚を引き受けて親方に仕えさせ、独自に立場を築き上げた。どこかに専門的な検証をした文献があるかもしれませんが、ブログ主的に職人というと、下町にはたくさんいらしたもの。横町を入ると街工場がそこここにあり、溶接や型抜き、メッキとか、金属加工に木工や塗装。数多の職人さんがお仕事をしていた。従業員には丁稚といった風情はなく、専門職の皆さん。
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そんな皆さんの世話になったのは、バイクや車のレストアをしていた頃の話。ひびの入ったフレームを抱えて溶接を依頼したり、安いエアコンプレッサーを使って塗装を試みた結果、全くモノにならず、塗師や(ぬしや)と呼ばれていた塗装屋さんに持ち込んだ。メッキは再メッキをしてくれる工房が決まっていて、下地処理にはズバ抜けた技術をお持ちだった。スポークホイールを自分で組んでバランスが取れなかったものを、昔はバイク屋さんだったという自転車屋さんへ持ち込むと親父さんが目の前でちょいちょいッと閉めたり緩めたり。あっという間に振れが取れた。
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塗装や再メッキを除いて片手間の作業は缶コーヒー一本とか、たばこ代とかでお願いできたもの。彼らはまさしく職人さんでした。ゴルフのネタに振ってみると今は宅配の集積場になっている東京有明の大きなレンジで、階段の下に一坪ほどのスペースでお店を構えていたおっちゃんがいた。当時のブログ主はまっさらな初心者で、天下のスライサー。
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でもオジキにもらったダンロップのウィザードのウッドが小ぶりな重いヘッドが、なかなか確率高く当たったのです。そのバッフィーを使い倒していたらヒールにひびが入った。調子のよい使いやすいものだったんで、この工房に修理できますかね、って聞いたら、一瞥した後にギロッと睨まれて直す価値があるかどうか、ちゃんと打てるようになってから持ってこいと言われたのです。
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すでにウッドはメタルに完全移行していて、この時も一昔前の遺物。ムカッと来ても良い対応でしたが、この時はそうだよなぁってスゴスゴと引っ込んだ記憶が鮮明。今はお仕事を引退されましたが、ユーミーゴルフの工房主もまさしく職人。鮮やかなネックの糸巻も目にしましたし、シャフトがへこんだウッドを手に入れ、これってリシャフトですかねって相談したことがある。既に出入りして長いころで、ブログ主の楽しみ見方もご理解いただいていて、メインに使うのでなければ、直してみましょうかってアドバイス。天然レザーのグリップエンドを外して金棒を突っ込んで、ハンマーで叩いたら見事に戻った。
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とんでもないネックの曲げ調整を受けてフォルムが酷かったアイアンも、折れちゃうかもしれないけどっていう覚悟で直してもらったら、これもまぁ見事に戻りましたね。当時、こうした職人工房はカスタムシャフトが新しく商売になったことで脱サラのコンポ屋と呼ばれていたポン付けの工房に凌駕されはじめ、特に愛想のない古来の職人工房は徐々に顧客を失ったものです。
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今出入りできるところでこうした作業を依頼できるのは、パーシモンなら星野ゴルフ商会だけになりました。若いお兄ちゃんが作業されていますが、踏ん張っていただきたいものです。

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