Wilson Brand
今時の企業が100年近く、あるいはそれを超えて現代に健全な創業一族の経営で残るとすれば、創業以来の商売に特化して、わき目も振らず真面目な商売してきた、いわゆる老舗の“大店(おおだな)”が多い。つまりは企業規模にすれば極小規模で、紆余曲折ありながらも何代目かの血族当主が経営トップ。
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そんな社長の経営判断は、絶対的な冒険を避け、次の世代に看板を譲る事を一義とし、市場規模が小さくなれば組織規模を縮小、取引先とは恒常化した接待で商売を繋ぐ。それはそれでご商売、何もおかしな事じゃないものの、歴代の当主と同じお寺にお妾さんのお墓もあるするらしい。一般的な企業経営者とは一線を画した旦那衆の集まりを大事に、定期的にホテルや料亭で会合を設けるのは同じ境遇での生き残り策の一つ。世の中の多くのブランドは資本を譲渡するなら、創業の過去など忌むべき沿革、ホームページにも残さない企業は多い。
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実は71年のウィルソンウェッジをきっかけにウィキッてみたらその創業は精肉業者であるとあった。精肉の際に生じる皮を使ってスポーツ用品の製造を始めたのが起源とある。こりゃ知らなんだ。それが1913年とあり、それから資本はそのままにビジネスが展開され、組織は1970年まで維持した。その後にペプシコーラのペプシコに買収。アメリカのゴルフブランドの老舗が流行の国民スポーツとなったボーリング資本に譲渡された時代、創業組織は莫大な売却益を得た。
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その後の市況から、1989年にフィンランド企業のアメアスポーツの子会社となったってぇのが情報。買収されて子会社になるってぇのはアメリカなら珍しいこっちゃない。70年代のアメリカでのブームに郊外の大型スーパーでゴルフクラブを売ったのは飲料流通の資本背景だったわけだ。翻って、日本ではソニーとの合弁会社でウィルソンプロダクトが販売された。ソニーの撤退後には本国資本に沿ってアメアスポーツジャパンってぇのが代理店権を行使した後、2008年からはキャスコがライセンスを取得し、鎌田利商店がウィルソンを扱っていた。
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ウィキッてみればそのキャスコも20223月にそれまでの株主、マミヤ・オーピーが株式をKSTに譲渡した。KSTってのは2015年設立の組織でゴルフ場経営をしているとの事、でもどのゴルフ場を運営しているかは不明。現代ウィルソンブランドの背景は複雑なようです。ついでにブランドを持つアメアスポーツってぇのは、2018年に中国資本のアンタ・スポーツっていう会社が公開買い付けで株式を取得、強制労働で知られるウィグルの綿を使用していることを公言する会社としてネット情報に登場する。
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整理をするとウィルソンの世界ブランドは中国資本のフィンランド企業の傘下。日本のウィルソンは、今年3月からゴルフ場運営の組織が資本を所有するキャスコの傘下。まぁ、早い話、いつものように現代に組織が残るブランドに、古いアイアンの問い合わせをしたのですが、その宛先が鎌田利のキャスコになっていた事に違和感を覚え、どうなってるんだってぇのがきっかけ。
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問い合わせをしたものの何の音沙汰もなく、無視されました。そりゃ、ソニーウィルソン時代の事を尋ねたところで、継続されて管理された資料も残らないし、そんな問い合わせをするユーザーにビジネスチャンスなど微塵もない。システム45やファットシャフトのスタッフなんかはアメリカ製品をフィンランド企業の日本子会社がブランド管理していたのでしょうが、鎌田利時代のウィルソンはイメージが無い。
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京都の老舗が創業何年と看板に書き添えるのはやっぱりすごいことなんでしょうな。