77年のウルトラ、ヘーゲンを見慣れている目からすると、そのデザインは、余りそれらしくないモデルです。抑揚が抑えられていて、フラットバックといってもよさそうなデザイン。なんか簡単に年式別の刻印だけ追っかけてスルーしてました。このウルトラも軽くしか打っていないので、本質的なことは、まぁ端から分かりませんが、いろんな想像をさせてくれるモデルですね。それから、ちょっと位デザインが変わっても、そんなに大きな変化は無いんじゃないのなんて思い始めちゃってますから、打ってどうこうってぇのも、もちろん大事ですが、何をしたかったんだろうって、声を拾うほうが面白くなってきちゃいます。ガン見していた時間が長かったので、余計ですけどね。
ご存知の方もたくさんだと思いますが、70年頃に登場したウルトラダインって言うモデルありましたよね。スポルディングみたいなネーミングですが、資料から見るとセンタースポットの新しいコンセプトモデルに見えます。黒ボタンと呼ばれていて、スポット中心のマッスル設計、見てくれはフェイスも高く、ヘッドが利いていそうなヘーゲン曲線いっぱいのモデルです。72年にはどこが代わったか分かりませんがバックの黒ボタンが赤ボタンになって、ぽってりとした、当たったら打感が良さそうなモデル。綺麗な造形です。
74年になると、どうしてそうなるのか、ウルトラダインIIとして、ノーホーゼルのモデルが出てきます。これは従来のヘイグウルトラとセンターウェイトを上手く掛け合わせたような、でも、なんとなくひ弱なイメージのもの。ノーホーゼルとはホーゼルの外形をヘッドの付け根からシャフトと同じにし、シャフトとクラブの継ぎ目をバリアフリーにしちゃったものです。これで、ウェイトをかなりトウ側に移動することが出来、スポットの設計は自由度が上がったはず。同じウルトラダインIIでも数年後のモデルは、今度はフラットバックになって、ヘーゲンらしい曲線は消えていきました。IIIではホーゼルも元に戻って、でもきっとイメージを残したくてセルが金属のものを使うようになります。
この反動のようにぽってりとしたデザインのザ・ヘイグが大文字のタイプロゴで78年に登場し、80年にはキャップアンドローのロゴに変わって継続されます。SWとPWで手元にありますが、ウルトラとは違った迫力のあるモデルです。
従来はヘイグウルトラだけだったのに対して、ウルトラダインやザ・ヘイグへの連携を見ていると、丁度この狭間で、ウェイトのデザインをフラットバックにリセットしたように見えます。
77年のデザインは、どう見てもヘーゲンらしくなく、しかし、例えばワイスコフのパーソナルなどと並べてみると、機能的にはなんら優劣の無い平凡なモデルになったようです。ウルトラダインで、ちょっとしたスマッシュ、打ち込んでみたんでしょうねぇ。本家のウィルソンの事情もあったのでしょうが、そちらは不如意にてあしからず。
そんなことを考えながら、77年を見ていくと、結構分厚いブレードですが、ホントに平凡なフラットバックといえます。
長いブレードに尖ったトウ、まさしくワイスコフのパーソナルの横に並んでいそうなモデルです。力のある球が飛び出しそう。
でも、例のファミリーから出てきたんじゃないかって言う、気になる点。一本だけ、納屋の裏で練習したみたいなんです。
ソールのバック側、小さな一部のメッキがベロッとはがれているんです。ここを傷つけるなんて、ミスショットしてたたきつけたんじゃないすかね。このメッキのはがれ方、ヘーゲン特有なんですよね。
ウェッジのザ・ヘイグも傷あとからも、メッキがベロッとはがれてくるタイプ。言い方は良くないのですが、鍛造ボディーに、銅のてんぷら粉をつけて、ニッケルクロームの衣をつけて、ふっくらと揚げた感じ。
ベロッとはがれるメッキが、すごく厚くて、ウェイト調整の鉛のような柔軟性があるんです。いってみれば、これほど柔らかくて、分厚い下地があるわけですから、何らかの効果があるんでしょうね。確かにヘーゲンは、いくら磨いても、クロームの曇りが、どうやっても取りきれない感じがします。やわらかいこともあるのでしょうが、細かい傷が多く、ミラーには復元しません。ミラー仕上げに出てくる、あの皺の対策でもあるのかな。見てくれ的には、ペーパーどころか、ヤスリをかけてもささくれが取れない、磨いていると布地がいつも引っかかる傷なんですね。ヘーゲン以外でこんな状況を見たことがありません。ネイルを仕上げるようにささくれを修正します。スポルディングのメッキの仕上げが秀逸だということですが、そのうちそれも観察してみたいと思います。
それと、やっぱり例の同じファミリーじゃないかって想像させる痕跡。
グリップが例のラムキンのこけし形ですが、全体的に樽型で、グリップエンドが野球バットのように、すっぽ抜け防止の一山ついているものです。別にこの変えられたグリップは、そんなもんもあったろうなんて事なんですが、その変え方。ザッツ雑なんです。今度は両面テープをちゃんと使ったみたいですね。それとバックラインは無いのですが、丁寧にマークをスクエアにあわせてあります。ただし、はみ出した両面テープがそのままベロベロしてるんです。なんか、笑っちゃうんですよね。
これを見ていると、おじいちゃんから息子が譲り受け、息子が買ったモデルを今度は孫がグリップ交換したなんてこの2セットでファミリーツリーが見えてきちゃいました。
まぁ事実じゃないにしても、2代目の息子が農場を相続し、忙しい盛りにストレス解消のように怪力でおじいちゃんのセットを振り回しました。いくらかビジネスライクに経営を考える孫が、実家に帰ってパパのセットをもらって帰り、ついでにこれもアンティークで価値があるもんだと、処分できなかったおじいちゃんのセットを無理やり持たされたんです。普通に考えれば、今時こんなものを使う道理は無く、ゴルフをするのなら近代兵器に変えて、今は大陸のどこかリゾートでゴルフをしているのかもしれません。でも、残ったものには、ファミリーの証たる、雑さがしっかりと残って、そんなところにいたんですってストーリーを話して聞かせてくれます。いやぁ、小説書けるかな。
当時の空気、なんとなく臭ってきた様な気がします。