復刻版や、後年のモデルから興味を持ち出しているということで、やっぱりそのオリジナルに興味を持つのは当然とご理解いただけると思います。ただ、このV.I.P.やトミーアーマー985なんてあたりは、中古品ではない市場価値を認められていますよね。なかなか手の出るようなものにはめぐり合いませんでした。でもやっと、これはちょっとお得?なんていうのに出会えたのが68年のV.I.P.でした。手元に来ることがわかってから、ホントに届くまで、いままで、こんなにワクワクどきどきしたものは他にはありません。思いだけを巡らせていましたから、余計ですよね。
手元に着いたものをみていくと、確かに68年と思わしき黒に白2本線のセル、macGregorのGが大文字の刻印。ターニーテーパーのマイクロステップといわれるステップレスシャフト。でも、不思議なことにニクラウスの文字が大きく、さらに調べてみると、シャフトの硬度表示がミディアムです。67年がファ-ムとミディアム、68年で1、2、3の表示でしたから、このモデル、67年に作られたパーツで組まれているけど、セルだけ新しいもの使われたんだ、と欲目の解釈をしています。命名67.5年モデルです。
今まで、比較する復刻版からオリジナルというアプローチでしたが、事ここに至って、オリジナルとは何ぞやと、自身には語れる背景がありません。M85の流れとされていますが、見てくれは違うし、例えば、何も知らされずに、これ打ってみてって渡されたら、ペナの57年と比べても、なんか芯喰わないし、打ちにくいクラブですねって言う感想しか出ないモデルです。このモデルだけの写真を見ても、何も凄いことないですよねぇ。
オハイオの怪童とは比較にならないアマチュアなんで、歴代のV.I.P.モデルを並べてみたところで、実はわかりません。比較対象のあるオリジナルではなくて、やはりこれは初期型なんです。もちろん参考にした以前のモデルはありながらも、この新しいモデルへ当時の設計者さんがいろいろ考えて、それをダイレクトに表現したモデル。設計者さんがオハイオの怪童が使うにはどうしたらいいか、SSからの改善点を具体化したモデルなんじゃないでしょうか?横文字の文献を漁っていたら、ボブリサフ(発音よく分かりませんが、Bob Lysaght)というデザイナーが基本設計をし、ニクラウスとの膝をつき合わせたディスカッションを通して、モディファイしたらしいです。
ずっと後年の我々なんかが、V.I.P.って凄いモデルがあったでしょ?って言う背景には、ほとんどその初期型については伝聞ですし、実体験としては初期型を一般向けにアレンジした進化復刻版、設計よりもユーザー志向。当時のゴルフ仲間曰く、凄いって言うけど結構低重心で、打ちやすいじゃん、ってことになってませんか。
いつもの工房さんに言われたのですが、いろいろ持ち込む中で、アルミシャフトにステンレスシャフト!銅下メッキ!変形グリップ!などなど、あーだこーだいいながら持っていくと、不思議な顔で、そんなにいいものなら何で今残ってないんだろうね、ってコメントです。ルールの変更や、コスト問題、技術の進歩で残ることの出来なかったものもあるでしょうが、その意味では、このバックデザインコンセプト、この後の多くのクラブに影響を与えたのは事実ですね。
一連の985モデルのコンセプトはどのモダンクラブにも引き継がれていないように見えます。が、M85の山形コンセプトとともに、キャビティーの内側で、いまだにこのV.I.P.のコンセプトは見受けられます。初期型でパイオニア、コンセプトが凄かった。40数年の時を経て、そんな理解をすることが出来ます。一時期の原動機付自転車の2サイクルエンジンのような存在でしょうか。いろんな付加価値はつけられながらも、基本設計は同じで長期にわたって主流でした。
さておき、このモデルの特徴はなんと言ってもホーゼルの高さです。8センチ近くあります。上から68年、500限定版、手持ちの復刻版です。下の写真は90度時計回りにね。今時そんなモデル無いですよね。当時のマクレガーモノはほとんどこれくらいあります。
それに意外と幅広なソール、高いホーゼルに気がつかなければ、確かに簡単そうに見えます。コンパクトなフェイスには特にこれはといった特徴はありません。ゆえに、ソケットと紙一重のスポットを意識して打てば、打感は今一ですが、ドローじゃなくて、まっすぐ飛んでくれます。そこで打っているからか、インテンショナルもなかなか決まらないことが多いんです。こりゃ腕のせいかもですけどぉ。
蛇足ですが、バックデザインの山のつけ方、平らな丘から、下ってくる斜面と、また低い平面とのつなぎ目には角があるのわかりますか? 写真のトウ側見てください。左からオリジナル、500限定モデル、手持ちの復刻版です。いわゆる丘の上、斜面、低いとこの3面で構成されています。復刻版と比較するとこの仕上げが違うんですね。ストレンジモデルは微妙ですが、角がなく丸く、この斜面が曲線です。その分、復刻版の方がマッスルの面積がちと広いんです。500セット限定モデルや90年代のフェイスのバーチカルラインに王冠の無いモデルなどは同じように角がありますが、ある年代のものだけ、なだらかにされています。だから何?ですよね。でも、前のめりになる、なり甲斐があるんです。マクレガーでもMGXというこのV.I.P.を忠実にコピーしたというMR55-D653というモデルが気になっています。MGXはほとんどの場合、2Iが無いので、手にするにいたっていません。が、復刻を謳うモデルの中でも、マッスルはなだらかに均されているようですが、そして、たぶん唯一ホーゼルの高さが高いままの復刻モデルのようです。当時ディスカウントショップで悩んだ記憶がよみがえるのですが、いつかはクラウンのつもりの、ストレンジモデルと並んで、打ってみたいモデルです。