「俺が知っている中で最強の悪魔を呼んでやる」モトヒロは一枚の羊皮紙を取り出すと印を結んだ。
「ケイスケ・プラメノヴィッチ、我、汝を召喚する!」モトヒロがそう締めくくると宝珠が弾けた。
「おっかしぃなぁ、呪文は成功しているのに、なんで宝珠が弾けた?」衝撃でバランスを崩しつつもなんとか踏みとどまったモトヒロが言った。ヤスヒロは吹き飛ばされ、壁にぶつかってひっくり返っている。
「おい、アツト、こっちの世界に来れたで、目ぇ覚ませ」ケイスケがアツトという異界の美を湛えたもう一人の悪魔を目覚めさせる。ケイスケは禍々しさをたたえているが、アツトは彫像の悪魔のようにどこか惹かれるものを感じさせる。
「おっかしぃなぁ、なんで2体も召喚したんだろ」モトヒロは首を傾げた。
「召喚してくれたことは感謝するわ。一つだけ願え叶えたら俺たちを自由にしてくれ」ケイスケが言った。
「ああ、はじめからそのつもりだ」モトヒロが言った。
「ところでなんで、俺を魔界から召喚したん?」ケイスケがモトヒロに尋ねる。
「2年前に行方不明になった王国近衛兵部隊、そのリストの中で最強の者を召喚しただけだ」モトヒロが答えた。
「どうやってワイらが悪魔になったと知ったん?」ケイスケが尋ねる。
「以前、名前を指定せずに悪魔召喚をした時、カッキー・コスマールを召喚した。その時にカッキーが王国近衛兵連隊に起きたことを教えてくれた」
「カッキー・コスマール……役に立ったん?」ケイスケが尋ねる。
「ああ、呪文を唱えるときに体力を借りた。疲れが取れたところで開放した」モトヒロが言った。
「いいんですか?勝手に悪魔を開放して」アツトと呼ばれた悪魔が尋ねた。
「王国近衛兵は王国に帰るべきだとオレは考えた。そしてそれを実行したまでだ」モトヒロは全く悪びれることなく言った。
「あ、すいません。僕、アツト・レデイッチっていいます」アツトと呼ばれた悪魔が名乗った。
「ああ、王国近衛兵のリストにもある。歓迎するよ」モトヒロが言った。
「魔族って、パネェやん……」ヤスヒロはやり取りを聞いていて思った。(つづく)