第82話 晩餐の席で(その2) | Gangbear Official Blog

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「彼らはガソリグ教徒を名乗っているけれどもどうも納得がいかないのです。多くのガソリグ教徒が自らの肉体を野獣に与えたり敵の剣闘士に無抵抗で殺されたりして神の国での平和を信じて死んでいったのに、彼らは違う。現世的な利益を追い求め、許すことを忘れて虐殺したり……彼らが昔の僕と同じ神を崇拝しているとは思えない」アツトが言った。

「俺がこの国の王になってから出会ったガソリグ教徒は現世的な利益を追い求め、布教のためなら殺人もいとわない連中だった。だから我々はガソリグ教を我が国唯一の禁教とした。彼らの祈りは我々と同じ祈りだ。彼らも悪魔に祈っている」モト王が言った。

カルタヒア王国は建国後すぐにガソリグ教徒の聖地セーラムを手放し、緩衝地帯を作って領地を設定した。だが愚かにも帝国はセーラムを領地に組み込んだ。

「最近、セーラムに行った物売りから噂に聞くのだが、帝都がセーラムに近い港町、コンスタンツァに移されるという話がある。最初は冗談だと聞き流していたのだが、パッツア・チッタが強力な邪な力に蝕まれたと聞くと遷都も現実味を帯びてくる」モト王がチェスでも楽しむかのような目で思いを馳せている。

「その力は普通の人間だったホタルさえも悪魔に変えてしまった。昼間に動く人々の数もどんどん減っている」マコトが言った。

「都の中にいるだけで普通の人間が悪魔になるとは……この世の地獄だな」モト王がホタルを見る。一見するだけでは魔力が弱いのか、普通の人間の様に思えるが邪な力を知る者ならば彼が悪魔であることがわかった。その横にいるヨイチロもしかりである。

「だが、彼らを攻撃すれば彼らの祈りは強くなり、帝都以外にも破壊をもたらすだろう。さあどうする、マコト殿」モト王がマコトに意地悪な質問をした。

「我々は帝都を攻撃するリスクを知っている。だからそれはしない。だがもし、ゲール人や西ゴティカ人が帝都に攻め込んだなら、彼らは相当な報いを受けるでしょうね」マコトが冷静に言った。(つづく)