デッド・クリフ第2話 | Gangbear Official Blog

Gangbear Official Blog

Gangbearさんの公式ブログ

第2話 犬一族と鬼一族


モトの4人の子分たちは連日、城の中庭で剣技の練習に没頭していた。モトは弟子を取るつもりは皆目なかったのだが、一時期騎士団長を務めていたゼリブラの剣の民の青年を筆頭に旅路を共にする者が現れた。モトは子分が同伴するのを許した。


モトが若者たちに昔の自分を見て、感慨に耽っていると風の民でアワズスティム騎士団――隣国ナッシンの民たちは軽蔑をこめて『アワズスティムの賊』と呼んでいる――所属のアツ・スクローザがやって来た。


「モトさんが騎士団を去ってからすぐに前教皇カワブチ・ジェルマーノ4世が退位して、今の教皇のイヌカイ・アンデルソン13世が教皇になったんだけど、なんでも鬼一族を統制するために各騎士団に出兵を強いるらしいよ」アツが関節を柔らかくするポーションを飲みながら言った。


アツはアワズスティムに来る前はレッシヴという国で騎士団長をしていた。しかし、レッシヴの太守はアツから騎士団長位を奪い、領地外に追放した。その時アワズスティムの騎士団長だったのがモトで、アツはアワズスティムに身を寄せた。アツを引き取った時、アツの肉体はストレスから完全にバランスを失って破壊されたような状態だった。今は体調が良いようだが、関節を柔らかくするポーションだけは欠かせない。


「鬼一族って、宰相のオニタケ・ハイムンドは鬼一族のオゼレク氏族の出身だろう。内戦になるぞ」モトが言った。
「イヌカイだって犬一族のスドノマイダー氏族出身だよ。こうして人間は鬼と犬の喧嘩に巻き込まれる。ま、ウチみたいな弱小騎士団はどっちの勢力からも相手にされないだろうけど」アツが言った。

「だが、鬼一族も犬一族もかつては人間から物を奪い、種を増やすために婦女子を連れ去り、なにより多くの人間が代理戦争を戦わさせられた。これじゃあ、Jの盟約以降平和を保ってきたノッピンの大地はふたたび悲劇の土地となる」モトが言った。


「こうしてモトさんの子分が増えていくってわけだ」アツが言った。
「それは困る。子分を食わせるために山賊に落ちぶれるのだけは嫌だ」モトが言った。
「おっと、帰りまでに日が暮れる。じゃあ、また来るね」アツはそう言うと軍馬に乗ってアワズスティムに帰っていった。(つづく)