第12話 天使の暗殺者
モトは愛車を副官のハジ・ヴァイドリング武装SS少尉に運転させて玄関で愛車を降りた。次の瞬間、モトの背中に銃弾が着弾した。モトはその場にかかんだ。ハジは車を降りるとモトの車を援護物にしてモトを玄関の中まで引きずり込んだ。モトは常に防弾ベストを制服の下に着ているので致命傷にはならなかった。
「飛行機テロの次はオレに対するテロか?」モトは溜息をついた。
「じゃあモトさんは飛行機テロの標的はフェニックス部隊だったとお考えなんですか?」ハジがモトに尋ねた。
「たぶん、な。オレが襲われた事で確信を得たよ。やれやれ、軍服と防弾ベストがこれで戦死だ。また妻に怒られる」モトは溜息をついて濃緑色のスタンド・アンド・フォールの詰襟がついた6つボタンの灰色士官服と防弾ベストを脱いだ。両方とも背中に銃弾が抜けた穴が空いている。モトの傷口からは血が出ている。モトは負傷治癒の呪文を唱え、傷を治した。
「モトさんって結構鍛えてるんですね。制服姿だとすごく細く見えるけど……」ハジはモトの身体を見つめて言った。
「変な気起こすなよ」モトが言った。傷はすっかり治っている。
「誰が!」ハジが真顔で否定した。
その頃、以前からその過激な反キリストの歌詞で知られていたビジュアル系ロックバンドの東京ドームでのライブ会場は開演前の熱気に包まれていた。
「ねえ、今度のツアーは凄いね。天使が上空を飛んでる」ドームの天井を指差した少女が言った。次の瞬間、天使は手榴弾の安全ピンを抜き、セフティーレバーを押し込んでそれを少女の足元に投げ捨てた。数秒後爆発が起き、少女を含む6人が即死した。
東京ドームは修羅場と化し、建物の外に出ようとした観客が将棋倒しになる中、天使は出口に殺到した観客目掛けて2発目の手榴弾を投げた。
最初に救難に駆けつけた消防警察ハイパーレスキュー隊のトリアージによると、死亡を示す黒ラベルが36枚、高度救命を要する負傷を示す赤ラベルが21枚、生命の危機のない黄色ラベルの重傷者が37枚、合計で死傷者94名を出す大惨事になった。(つづく)