酷かったつわりも妊娠後期にはだいぶ落ち着いて、総合病院での健診も毎回問題なく、自然分娩の予定でした。

 

実際、予定日2日前の朝、経験したことのない腹痛(というか全身が体の中から圧迫されるような何とも言えない苦痛)があり、夫の運転で病院に行き診察を受けたところやはり陣痛が始まっていて、そのまま入院して自然分娩することが決定。助産師さんに案内してもらい陣痛室までヨタヨタ歩いて行って、ベッドに横になりました。

初産なので長時間かかりそうでしたが、すでに気の遠くなりそうな痛みで話せないほどで、出産まで耐えられる気がしませんでした。
 

そこへ、お医者さんと助産師さんたち数名が来て、陣痛の進み具合を確認してくれたんですが……、このとき赤ちゃんの心拍が急低下していたそうで、お医者さんたちの余裕のある穏やかな雰囲気が一変。「緊急オペやーーー!!!!!」って感じで半分叫びながらの会話で段取りが始まり、さっきまで優しく微笑んでいた助産師さんが必死の形相で私に酸素マスクをつけてくれて、「赤ちゃんが苦しいから呼吸をして!!!!!」って何回も言われ、数分の間に新たに10人くらいのスタッフさんたちがわさわさと駆けつけてくれました。

 

手術の段取りの会話は医療用語で行われていたし、私への説明はなかった(そんな時間の余裕はなかった)ので、この時点で私は事態が呑み込めておらず、「私が苦しいと思われてる?このままじゃ帝王切開になってしまう!」と思い、酸素マスクを自分で外して「苦しくないです、大丈夫です」とか言って、「赤ちゃんが苦しいから!!!!!呼吸して!!!!!!」って怒られていました。

 

そして、まもなく、寝ていたベッドのまま周りを十数人のスタッフさんに囲まれながら、手術室まで運ばれました。

スタッフさんたちダッシュだし、ダッシュしながら私のほうに手を伸ばして何らかの処置をしようとしていた方が、「走ったほうが早い!」って言って処置することを諦めていて、どんだけ時間ないんだ!と他人事のように思いました。予想外の出来事に頭がついていけませんでした。

そして、赤ちゃんが苦しいって何!?やっぱり帝王切開!?おなか切るの怖いからいやだ!!!と思っていました。

 

でも、私の顔の真横にいた女性のお医者さんが、ダッシュしながら、帝王切開になることを説明してくれて、赤ちゃんはなぜ苦しいんですか?と聞いたら、はっきりわからないけど自分でへその緒を握ってしまっているのかもしれない。赤ちゃんを救うためにオペをします、と。

パニックになっていた私も、「救う」という言葉を聞いて、手術するしかないことを一瞬で理解しました。

 

次回に続きます。