皆さんこんにちは。
弁護士の市川一樹です。
先日、こんな相談を受けました。
「固定残業代制度を導入している場合でも、労働時間管理は必要ですか?
固定残業代を支払っているので、いちいち残業時間を計算する必要がないと思うのですが。」
固定残業代、聞いたことがある人も多いかもしれませんね。
皆さんの中にも、毎月固定残業代を受け取っている人もいるでしょう。
固定残業代とは、「毎月の残業代相当額をあらかじめ一律に決めておいて、毎月一定額を支払うこと」を言います。
あらかじめ決めた金額を支払うのですから、毎月いちいち残業時間を計算しなくてもいいように思えます。
実際、計算していない企業も多いです。
しかし、固定残業代を採用している場合であっても、実際の残業時間から計算される残業代が、固定残業代を上回っている場合には、その差額を従業員に支払わなければなりません。
よって、労働時間管理は必ず必要ですし、毎月残業時間を計算し、残業代を算出しなければなりません。
固定残業代は、従業員に対し、法律で定められた以上の残業代を支払う制度なのです。
残業代の上限額を決める制度ではありません。
例えば、10時間分の固定残業代を受け取っている従業員がいたとしましょう。
この従業員が、仮に6時間しか残業しなかったとしても、10時間分の固定残業代を受け取ることができます。
固定残業代制度は、実際の残業代より多い金額を従業員に支払ってあげるための制度であり、従業員に手厚い制度です。
では、10時間分の固定残業代を受け取っている従業員が、15時間働いた場合はどうなるでしょうか。
この場合、10時間分の固定残業代とは別に、5時間分の残業代を支払わなければなりません。
いかがでしたでしょうか。
固定残業代、適切に利用できているか、一度見直してみてください。
固定残業代の使い方を誤ると、未払残業代を支払わなければならないばかりか、付加金(未払残業代と同額の金銭)の支払いを命じられることもあります。
このほかにも、固定残業代制度を導入するときには、いくつかの点に注意しなければなりません。
固定残業代制度をお考えの際には、弁護士に相談することをお勧めししています。専門家の介入で、経営者と労働者の双方により良い環境を作ることができると思います。
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