皆さまこんにちは。

中国の絶世の美女、テディーランドット姫ですっ!



我が美貌の前には

星も月も頭(こうべ)を垂れる…

並ぶ者なき氷の美姫。





…なんちゃって。



いえね、Dさん現役復帰発表に沸いたあの日




私はピーッ歳にして
人生二度目のオペラ鑑賞へ出かけていたのです。

イタリア・バーリ歌劇場「トゥーランドット」公演へ。




トゥーランドット…マリア・グレギーナ

カラフ…マルコ・ベルティ

リュー…ヴァレリア・セペ

ティムール(カラフの父)…アレッサンドロ・スペーナ

ロウ・リン姫…ナウシカ・柳沼・フォンターナ

他出演



(どうでもいい話ながら

ロウ・リン姫役の人のお名前が「ナウシカ」だったのに食いついた私)








結果から言うと昨年観た「トスカ」ほどの打ち震える感動はなかったものの

まあまあ楽しく見終わりましたよ。

生で聴いた
「誰も寝てはならぬ」
は迫力があり、やっぱり素晴らしかった!



Dファンの身としては

7月1日以降
いろんなことがあって

トゥーランドット感想どころじゃなかったのですが

あの公演はぶっちゃけ
自分的に釈然としない終わり方でしたので

どうにもこうにも引っ掛かっておったのです。


という訳で先日このDVDを購入し



(これに決めたのはトゥーランドット役が同じマリア・グレギーナだったのが一番の理由。

DVDでは9年ぶん若い)


観終えてスッキリしましたので

『ド素人、オペラ「トゥーランドット」を語る』

みたいなコーナー(?)をこのたび設けました!

お暇なら見てって。

お暇ならネ。(強調)




「トゥーランドット」といえば

フィギュアでもおなじみ曲。

荒川さんはこれでトリノで金メダルを獲ったし

記憶に新しいところでは
やはりしょーまくんだわね。





しかして奥サマ方。

フワ~ッとではなく
キッチリしたストーリーをご存知だろうか。

ええ、アタシはあんまりご存知じゃなかったわ。(キッパリ)

だからとりあえず
ネットであらすじ等を読み、予習してから出かけたのです、ネット万歳。



そんなテディーランドットが
もんのすごおくザックリ説明いたしますとこんな感じ。


※合間にピンク色文字にて茶々、いえ舞台を観たテディーランドットの感想が入ります。








場所は北京、いつとは知れない時代。

老いた父、アルトゥーム皇帝に代わり
中国を支配する絶世の美女トゥーランドット姫。



とにかくその美しさが繰り返し強調されるのよ…

ハードル上げすぎたせいでトゥーランドット登場時にはゴニョゴニョ…



美女の誉れが高いため
求婚者は引きも切らずでしたが

ヨメにいきたくない姫は

群がってくる求婚者たちに3つの謎を与え

それら全てに正解すれば妻となるが

間違えれば首をはねる、という酷いことを続けています。

大臣たちは処刑の連続にすっかりウンザリ。

さりとて求婚者が絶えないことにもウンザリ。

皇帝も愛娘の暴挙に心を痛めながら、それを許してる弱腰っぷり。

そんなこんなで
その日もペルシャの王子の公開処刑が行われようとしていたところに

現れたのが亡国の王子、流浪の身であるカラフ。



熊「あっ…主人公なのにふっくらしているよ…

う、うん。声量が必要なオペラだからね!オペラってそんなものだからね!」

と自らに言い聞かせるテディーランドット。

どこかでほっそりしたイケメン王子を期待していたらしいテディーランドット




なのでほんのちょっとだけションボリンなテディーランドット



カラフはそこで
同じく放浪していた元王様であるティムール(カラフの父)と

ティムールに付き従う召使いのリューと再会。

このリューは

「ある日あなたが私に微笑んで下さったから…」

というだけの理由でカラフを一途に慕い続けるチョロい健気な娘である。

よりによってそんなリューのいる前で

トゥーランドットの美しさに一目惚れしたカラフは

哀れなお父さん達が止めるのもきかず、命懸けでトゥーランドットに求婚することを決めるのである。



この親不孝者めが。



しかしどうやらカラフは頭がいい(設定)らしく

なんということだろう
トゥーランドットが出した3つの謎を全て答えてしまった!

正直、カラフ以前に3つの謎が誰にも解けなかったのが最大の謎であるくらいなレベルの謎ではあるが

まあアレだ、オイディプスとスフィンクスの謎かけみたいなものであろう

お伽話においてご都合主義は正義。

で、せっかくカラフが謎を解いたのに

ワガママ姫はまだヨメにいきたくない、嫌だようとごねる。



いや、約束は果たせよ。



ちなみに
トゥーランドットがこんな残酷なことをしていたのは

自分の先祖、ロウ・リン姫のため。

美しいロウ・リン姫はその昔

異国の男にひどい目に遭わされ非業の死を遂げたので

彼女に成り代わり世の男たち(主に異邦人?)に復讐しているのだという。


それは単に男嫌いの方便じゃなかろうか?なんてテディーランドットはちょこっと思ったのだが

そもそもが美少女(多分だいぶ若い設定のはず)の考えることはテディーランドットには分からない。

舞台上のトゥーランドットはふっくらとした貫禄ただようおばさまマダムで

どこをどう頑張っても美少女には見えなかったものの

このオペラには声量が必要なので、以下略。

大切なのは歌唱力と演技力だから!
と、自らに言い聞かせるテディーランドット。




ともあれ謎を解き調子に乗ったカラフは

プライドを傷つけられたトゥーランドットを見てかわいそうになり

「じゃあ夜明けまでに僕の名前を当ててみて☆」

などと、グリム童話のルンペンシュティルツヒェンみたいなことを言い出します。

当てられれば身の破滅
でもどうせ当たんないだろ、と調子こいて

「僕は勝つだろう」的な歌(誰も寝てはならぬ)を歌う
どこまでもお調子者なカラフ。



貴様が余計な謎かけ返しをしたために

健気なリューが死ぬ羽目になったのに…

そこがすごいモヤモヤしたテディーランドット。



トゥーランドットは嫁ぐのは嫌だし
プライド丸つぶれにされた恨みもあるしで謎解きに必死である。

ついにカラフの名を知るリューとティムールを見つけ出し

リューを痛めつけて名前を吐かせようとします。


トゥーランドット鬼畜か。

ろくな女じゃないぞ。
悪いことは言わないカラフくん、リューにしとけ。



しかし忠義なリューは口を割らず

カラフへの愛を胸に抱いたまま自害してしまうのですっっ。

なんという悲劇!











…ってところで私が観た

「イタリア・バーリ歌劇場」の「トゥーランドット」は幕を降ろしたのですが

やはりというか

「え…これでおしまい?」

とざわつく場内。

そりゃそうだ。

私が予習していったあらすじでは

この後カラフがトゥーランドットの氷の心を溶かし

トゥーランドットにカラフを指して


「Il suo nome è … Amor!(彼の名は…愛!)」



とまで言わしめる
手の平返し的ハッピーエンドへと向かうはずだったのです。


私はオペラど素人ですが
おそらくはそれが多く上演されているエンディングではないかと思われ…?


リューの死で一気にドヨンとなった空気をどう変えて大団円に導くのか

続きを楽しみにしていただけに肩透かしをくらった思いでしたよ。

ちょっと期待外れだったためパンフも購入せずじまい、

という訳で
この公演のことは
今でもよく分からないままでいます。

でもまあとりあえず
オペラから帰宅後、ひとしきり検索してみたところ

リューが死んだ場面を書いたところで
プッチーニもまた死んでしまい

その先は弟子が引き継いだそうで…

なので、もしかしたら
バーリ歌劇場は純然たる「プッチーニ作」を貫きたかったのかもしれませんね?

(あの偉大なマエストロ、トスカニーニも初演時

リューの死場面が終わると指揮棒を置いて去ったというし…)



だからそれはそれで仕方ないとして

舞台美術等が暗あーい感じだったのも気になりましたね。

オペラって豪華絢爛という先入観があったのに

トゥーランドットの衣装は
飾りも何もない白のシンプルなものだったので


あの…モノトーンのシンプルな服ってよほどの美男美女でないと難しいんじゃ…

白は特に太って見えるしゲフンゲフン、
衣装が豪華な方がいろいろごまかせるよ?

って思っちゃったテディーランドット。←余計なお世話



小柄なロウ・リン姫もまた
袖口のダラリと長い白のシンプル衣装でウロウロ(?)し

垂らした長い髪といい
これは完全に幽霊っぽい風情だったので




「貞子かよ!」




と、ひとり突っ込んだテディーランドット。


昔々に死んだはずのロウ・リン姫は

おそらく多くの公演では
名前しか出て来ないだろう存在にもかかわらず

この公演ではフラフラと歩き回ったりしてて

キャスト表にまで名前が書かれてあるので
どうやらキーパーソンであるらしく。



…おそらくだけど

トゥーランドットがロウ・リン姫の亡霊に憑かれて残酷な振る舞いをしている、ということを

概念だけではなく
ビジュアルでも表現したかったのではないだろうか?

であれば、トゥーランドットとロウ・リン姫が

似た白装束(ちょっと死に装束すら連想させる)だったのも納得できるし

愛に終わるのではなく

死で終わってしまうこの物語にはふさわしいのかもしれない。


と、考えを巡らせるテディーランドット。


だけど、主役の王女さまにはきらびやかな衣装をまとってほしかったわー

ってのは女性の心理。
こういうのって、綺麗なものを見たいじゃない?


だいたいからして辛気臭いというか陰気というか

なんかこう全体的に

「冥界の入口へようこそ☆」

的な世界観だったのですものー


処刑場や宮殿等の場面で居並ぶ兵士達の図も

どこかで見た気がする…
何かにイメージがかぶる……
ええと何だっけ何だっけ………


と観ながらずっと考えていて

途中で急にピンと来ましたよ。




「そうだ!兵馬俑だ!」




…って。


すんごいしっくり来てスッキリ(笑)





まさにこんなイメージ↓








うーん
貞子と兵馬俑ではちょっと暗い感じが過ぎるわねえ…

きっと墓所の雰囲気を狙ったところはあったのだろうけれど。


後からいろいろ調べたら
兵馬俑チックなイメージは
他の公演でもあったりしたようですが

(まさか欧米では中国=兵馬俑イメージなの???)

貞子はどうなんだろうな……(あれは日本製)



えーと、私は口が悪いので

なんだかんだ好き勝手言っておりますが

これはこれで決して悪くなかったんですけどね

耳なじみある音楽は舞台に親しみを感じさせてくれたし

それを生で聴くのは格別だった。

誇り高いトゥーランドットは星のように冷たく、残酷で堂々としており

健気なリューが歌うアリアは涙を誘った。


ただ、私の公演前の大きな楽しみのひとつが


「彼の名は…愛!」



あたりだったので

そこが残念でDVDを購入した訳なのです。



さて私はお目当ての場面を堪能できたのか。









余談ですが

開演前には
オケピの楽団員の人が自撮りしていたので

熊「オケピまでスマホ持って入っていいんだ~」

と、変なところに感心してしまいました。

年配の方が動画撮ってて…若い人に使い方か何かたずねてた。なごんだ。

宣伝でSNSなんかにあげるのかしら…???