冬になると、

会社でひそかに囁かれる噂があった。


「ベア子のアパート、冬は冷凍庫みたいらしい」


最初は冗談だと思っていた。

でも、本人の生活を知るほどに

誰も笑えなくなっていった。



🧸 会社で暖をとる女


18時。

周りが「そろそろ帰ろうか」と立ち上がる時間。


けれどベア子は、

なぜかいつも席にいる。


パソコンの画面を見つめ、

“仕事をしている風”。


画面はほぼ動いていないのに、

彼女は動かない。


理由はシンプル。


暖房の効いた社内で、体を温めきってから帰るため。


19時、20時——

ぽかぽか時間をしっかり貯金してから、

寒さとの戦いへ向かうのだ。


🧸 帰宅すると、そこは極寒

そして帰る先は、

ファンヒーターなし。

ストーブなし。

エアコンの暖房も、使わない。


理由はただ一つ。


「電気代がもったいない」


冬の日によっては、

部屋の中で息が白くなるほど。


でも、ベア子は慣れている。



🧸 ベア子の冬ルーティン


1️⃣ 帰宅

2️⃣ 小声で「さむっ」

3️⃣ こたつで身体を温めてお風呂へ

4️⃣ 湯上がりの熱があるうちに、またこたつへダイブ

5️⃣ そのまま朝まで冬眠


※ 暖房は、使わない。


朝起きると、

こたつの外は別世界。


空気が冷たすぎて、

一瞬、動けない。



🧸 なぜそんな生活ができるのか?


理由はひとつ。


節約の鬼だから。


寒さよりも電気代。

快適さよりも財布の中身。


ベア子の冬越し能力は、

もはや人間というより

修行僧か、野生動物に近い。


それでも今日も彼女は、

マフラーをぐるぐる巻いて、

また会社へ向かう。


暖かい場所を、

誰よりもよく知っているから。


面白くて、

少し怖くて、

でもどこか憎めない。


そんな珍獣を観察するのは、

正直とても楽しかった。