ユウが5番を打つようになって勝負強さが目立つ。打点が高いのは勝負強さの表れだとおもうのだが、それは、打席への入り方が彼の心境を物語っている。
1番を任されていたの時の彼は、どちらかと言うと、走塁の人だった。とにかく俊足なので、ボテボテでもいいから転がして、快速をかっ飛ばして1塁をゲットするという役割だ。
彼の中で、その役割でのパーソナルイメージができてしまった。だから、自分はヒットは難しいので、とにかく転がして内野安打を狙う・・・・が潜在意識にインプットされていた。
だから打席に入る時も、大声でピッチャーを威嚇するような入り方をやっていた。打率も2割そこそこだった。
ところが、いつのまにかクリーンナップを打ち始めてユウの打席の入り方が変わった。
非常に落ち着いて打席に入り、ピッチャーを威嚇することもなく、自分のペースで構えに入ってゆく。
ある意味、貫禄を思わせるような身のこなしだ。
『最近、声だせへんな・・・・?』
『あー、そーやねん、その方がなんかな集中できんねん』
しかも2ストライクまで追い込まれた方が、さらに集中できるそうだ。
結果は、打率が6割近くまで上昇し、打点はとても高い。
ユウの頭の中には、チャンスで凡打するオプションが完全にカットされている。潜在意識に、そんなネガティブな状況はインプットされていないのだ。
結局、実力が伯仲するレギュラーの中で、チャンスに打てる(守れる)のは、スキルではなく、何が心に浮かんでいるか。どんなイメージの土台にその時の考えが形成されているかが大きく結果を左右するのではないかと思う。だから、スポーツの世界では、技術以上にメンタルがものを言うのだろう。
『緊張したやろ?最後のバッターで打席にはいる時、なに何かんがえてんの?』
『え、打つことしかかんがえてない。』
彼は、当たり前のように言い放った。