PITTI UOMO 97 続報.2
国内の展示会が始まりました。
これから2月末までほぼ毎日展示会まわり。
内容が良くて気分が上がるブランドもあれば、全くダメで意気消沈して終わる場合もあります。
昨年11月のプレコレクションから始まり、イタリア出張でメインコレクションをチェックして、すでに ”ここはダメそう・・・” というブランドも結構あるものなんです。
そう思いながらもBEAMSは全てのブランドをしっかりチェックするのですが、かなりの確率で ”やっぱりダメでした” となるのが実情です。(苦笑)
今まで内容が良かったブランドが急にダメになるケースも最近は多いので、やはりコレクションの内容を今まで以上にしっかりチェックしてオーダーしていかなくてはならないと思っています。
今回は前回に続きPITTI UOMOの続報で、ここ数年躍進が続くDRAKE'Sのコレクションについてです。
ブースの大きさが6倍?くらいになったDRAKE'S。
今までのブースはネクタイを主力にしていた頃のブースだったので、トータルで展開する今となっては手狭なのは当たり前でしたが、ブースの広さがいきなり数倍になるというケースは私のバイヤー人生の中でも見たことがありません。
それだけドレイクスの勢いを感じます。
ディスプレイはPITTI出店ブランドの中では、どこにも似たものが無いドレイクス独自の世界観です。
ドレスとスポーツやミリタリー、アウトドアをミックスするのがドレイクスらしいテイストです。
ネルシャツはアメリカンヴィンテージ風のダブルポケット。
自分にとっては80年代のアメカジ風でとても懐かしい感じがします。
ダブルポケットのシャツは来秋冬の流れですが、ここまでアメリカンテイストのモノはイタリアブランドには見られません。
これを英国の工場で作るというのも、英国のファクトリー事情を知る自分にとっては感心するばかりです。
綺麗な色のシャギードッグのクルーネックにネルシャツ、ピーコートという、私のようなプレッピー世代には懐かしいコーディネート。
ニットの色目やボーダーの柄も、70年代や80年代のMEN'S CLUBで見たようなアイビーやプレッピー感のあるバリエーションです。
個人的にささったのがこのコート。
チェンジポケットの付いたラグランスリーブのバルカラーコート。
これはかなりいいですね。
白黒のグレンプレイドとヘリンボーンという、モノトーン柄のコートにインナーはカラフルなブロックパターンのニットやチェックのインナーダウン?を合わせ、モノトーン×カラーのコーディネートにしています。
このコート個人的にかなりささったのですが、少し問題が・・・
画像を見てもわかるのですが、フラップポケットがかなりハネて浮き上がっています。
これは直した方がいいと営業の責任者にアドバイスしたのですが、なんとなく空返事・・・
すごくいいコートなので、きっちり直してくれることを願いたいですね。
アーガイル柄が彼らにとっては来秋冬重要なパターンと言っていました。
自分も今回のPITTIはアーガイル柄が出てくるかなと予想していたのですが、思ったほど多くなかったなと言うのが正直なところです。
フェアアイル→クリケットとくればアーガイルが来るだろなというのは、トラディショナルなテイストをわかる人間にとっては容易に予想できることなので、彼らの打ち出しには共感するものがあります。
コーデュロイのジャケットにアーガイルというコーディネートも、アイビー世代の私にとってはとても懐かしく感じます。
タイドアップのスーツはコーデュロイ。
パッチ&フラップのポケット、センターベントという、アメリカンモデルのスーツです。
オックスフォードのストライプBDにストライプのタイというアイビー的なコーディネート。
最後のリアルアイビー世代の私にとってはささりますが、このテイストはBEAMSではBEAMS PLUSのテイストなので、少し見慣れた感じもします。
下段のベージュのストライプのBDがいい雰囲気ですね。
個人的にも着たい感じです。
オーダーの時チェックしてみます。
ネクタイはご覧の通りクローゼットのネクタイのようなディスプレイ。
昔からドレイクスを知る人の中には、”ネクタイがこんなに少なくなっていいの?” という声も聞かれそうですが、自分は今やPITTIはオーダーの場ではなく、プレゼンテーションの場なので、これでいいかなと思います。
ネクタイは彼らにとって重要なビジネスであるのは今も変わらないので、ショールームでしっかりフルコレクションを見てオーダーすればいいだけの話だと思います。
靴はドレイクスのトレードマークとも言えるデザートブーツとラッセルモカシン風のブーツ。
”ドレイクスの服に合う靴はこれ” と言うメッセージでもあります。
上のコーデュロイのスーツにデザートブーツを合わせてもいいですね。
デザートブーツはフレンチアイビー的な靴でもあるので、個人的にも今また履きたい靴です。
英国製の頃のクラークスのような細身のラストのデザートブーツが欲しいなと思っています。
アイビー、プレッピーテイスト満載のコレクションですが、中には?というアイテムもあります。
コレクションの中のほんの一部ですが、この辺は我々日本人にとってはちょっとキビしいですね・・・(苦笑)
日本以外の国ではニーズがあるのかもしれませんが・・・
2020年春夏はアイビーやプレッピーの流れがあり、その流れは2020年秋冬も継続しています。
イタリアのブランドはそのテイストを取り入れてはいるものの、ドレイクスのようなわかりやすく雰囲気が伝わるブランドはほとんどないのが実情です。
ドレイクスのクリエイティブ ディレクターのMICHAEL HILL(マイケル ヒル)は、父親がターンブル&アッサーのネクタイデザイナーだったCHAELES HILL(チャールズ ヒル)。
そして、MICHAEL DRAKE(マイケル ドレイク)の下でネクタイやスカーフのデザインを学んだ、言わば英国ネクタイ業界のサラブレッドと言える存在です。
そんな彼が英国人でありながら、これだけアメリカンなテイストのブランドをディレクションできるのも、彼が英国やイタリアだけでなく、フランスやアメリカや日本のマーケットもしっかり理解してディレクションしているからなのだと思います。
それは、先代のマイケル ドレイク自身が、英国人でありながら英国ではなくイタリアやフランス、米国、日本をメインマーケットとしてブランドを展開し、世界有数のネクタイブランドとなったというブランドヒストリーを継承していると言えます。
20年以上前であれば、英国=サビルロー、ジャーミンストリートという感じで、他国のモノなど寄せ付けない感じもありましたが、英国も世代が変わりファッションも随分グローバリズムが浸透しました。
今やロンドンで人気のセレクトショップには英国ブランドはほとんどなく、イタリアや米国、日本のブランドが大半をしめています。
それだけ時代は変わったと言うことですね。
古きよきものには敬意を払いつつ、新しいモノは積極的に取り入れる。
英国の新しい世代の柔軟な感性が、ドレイクスのコレクションには感じることができます。
そんなPITTIでも異彩?を放っていたドレイクスのロンドンのショップが、サビルローに移転オープンしました。
場所は9番地というど真ん中。
9番番地と言うと、隣がDEGE & SKINNER、その隣があのHUNTSMAN & SON というサビルローの中でも一等地と言える場所です。
店内も奥行きがあって広々しています。
現地に行かれた方は是非行ってみてください。
DRAKE'S
https://www.drakes.com/editorial/our-savile-row-flagship-is-open/
2020年春夏トレンド解説動画 VOL.2 アップしました。
今回はスーツ編です。
是非ご覧ください。