万能秘書はどのサービス?――「Siri」「しゃべってコンシェル」「音声アシスト」を徹底比較 | ペケポンのインターネットニュース

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 iPhoneの「Siri」が登場して以来、自然な言葉で話しかけることで、情報を確認したり端末の機能を利用できたりする音声認識アシスタントに注目が集まっている。以前から、話した言葉を認識し、それをテキストに置き換えたりアプリを起動したりするものはあるが、Siriを始めとした最近の人気サービスは、まるで端末の中に秘書かコンシェルジュがいるかのように、コミュニケーション能力を持つ点が特徴だ。

【画像:Siri、音声アシストの画面、ほか】

 今回は、iPhoneのSiri、ドコモの「しゃべってコンシェル」、ヤフーの「音声アシスト」の3サービスについて利用方法や機能を比較検証。また、Siriでは普通の質問ではない“会話”を楽しめることも有名だが、3サービスの“中の人”がどこまで対応してくれるのかもチェックしてみた。

●まずは利用方法を確認

 まず、これらのサービスを利用するための環境やアプリ入手方法、利用方法を確認してみよう。

 SiriはiOS 5に組み込まれているため別途アプリをインストールする必要はないが、現時点ではiPhone 4Sでしか利用できない。スリープ中でも他のアプリの利用中でも、ホームボタンの長押しでSiriが起動し、そのまますぐに話しかけて質問や命令ができる。

 しゃべってコンシェルはAndroid 2.2以上の機種に対応し、基本的にドコモ端末で利用可能なアプリだ。アプリの説明には利用できる期間が記載されているが、期間はバージョンが上がるたびに変わるので、バージョンアップを続けていけば今のところは無料で利用し続けることができる。アプリを起動すると、「何かご用ですか」という“ひつじのしつじくん”のイラストとともに音声入力用のマイクアイコンとテキスト入力エリアが表示される。質問はマイクアイコンをタッチして話しかけるほか、テキストで入力することも可能だ。

 音声アシストは「Yahoo!ラボ」の実験サービスとして公開されているアプリで、Android 2.2以上のスマートフォンで無料で利用できる。起動すると「お話ください」の吹き出しとマイクボタンだけのシンプルな画面が表示され、マイクのボタンにタッチして話しかける。

 今回は音声で質問を入力した。音声の認識精度について、あまり大きな差は感じられなかったが、強いていえば音声アシストの認識精度が高いと感じた。返答にかかる時間も、通信環境に影響される場合はあるだろうが、おおむね2~3秒で結果が表示される。Siriと音声アシストは女性の音声で返答してくれるが、しゃべってコンシェルは中性的だ。日本語の自然さではiPhoneと他の2サービスとでだいぶ差があり、iPhoneの日本語の発音は一昔前のロボットのようで、やや不自然だ。なお、いずれも音声での再生を設定で調整することができる。しゃべってコンシェルは端末本体がマナーモードになると音声再生も聞こえなくなるが、音声アシストはマナーモードでも再生。iPhoneはマナーモードでも音声再生されるが、イヤフォンやヘッドセットなどを使ってハンズフリーで利用するときだけ再生するように設定することもできる。

 音声アシストはAndroid全般で利用できるが、画面デザインがややそっけない印象だ。しゃべってコンシェルはこの中で唯一、テキストでも質問を入力でき、ひつじも可愛らしい。返答の前に質問した内容を確認するのが少々まどろっこしいと感じることもあるが、コンシェルジュらしいともいえるし表示は速やかだ。Siriはボタンの長押しですぐにアプリが起動し、その時点で入力状態になっていて使いやすい。

●天気予報と乗換案内を調べてみた

 音声認識アシスタントでよく使うと思われる天気予報、乗り換え、ニュース、付近のスポットの検索、アプリの起動についてチェックした。

 天気予報の検索では「明日の天気は?」「ロンドンは?」と話しかけた近辺と海外の天気予報を調べた。Siriは「明日の天気予報です」と答えながらも週間天気予報を表示。ロンドンについて聞いた場合も同様だった。

 しゃべってコンシェルは「この付近の天気をお調べします」と言ってピンポイントな地域の3時間ごとの天気予報と週間天気を表示し、3サービスの中で最も詳しい予報を一発で確認できた。

 音声アシストも、しゃべってコンシェルよりは広いエリアの予報だが当日の天気予報を表示した。直後に「ロンドンは?」と聞いた場合には天気情報が見つからないとの返答。あらためて「ロンドンの天気は?」と聞くと日本気象協会の「tenki.jp」へのリンクが表示された。

 乗り換え案内では「赤坂から汐留」「ここから赤坂」など、近距離のルートを中心に検索。経由駅を変えたり、終電の時刻を調べたりもしてみた。

 残念ながら今のところ、日本語Siriは電車の乗り換え検索に対応していない。お店や地図、渋滞情報なども、検索できるのは米国内で言語設定をアメリカ英語にしているときだけだ。回答の画面で「Webで検索」をタップすると、設定した検索エンジンでの検索結果が出るので、うまく利用するとそれなりに活用できるが、やはりサービスの連携強化を期待したいところだ。

 しゃべってコンシェルと音声アシストは、現在地を認識し、最寄り駅からの乗り換えルートも検索できる。出発駅と到着駅を指定した乗り換え検索では2サービスでルートが違うこともあったが、それほど大きな違いは感じられず、実用に耐えると感じた。特に音声アシストは、経由駅を変えて調べたい場合に「◯◯駅経由で」と続けて再検索することができるのが便利。しゃべってコンシェルは言葉こそ認識するものの、検索結果は同じままだった。音声アシストは「入れ替えて」と命令すると、出発駅と到着駅を入れ替えて検索し直すことができるなど、なかなか気が利いている。なお、終電については両方とも調べることができた。

 この乗り換え検索は、一言話すだけで検索できるので、文字入力や路線から選択して駅を入力するよりずっと簡単でスピーディだ。急いでいるときに歩きながらでも検索できるのがいい。人前で検索するのが恥ずかしいなら、端末を耳元に持っていけば電話をしているように見えるのでお勧めだ。

●今日のニュースを聞いてみた

 「今日のニュースは?」という質問に、きちんと国内ニュースを表示したのも、しゃべってコンシェルと音声アシストだ。Siriは「今日のニュース」でWeb検索を勧めてくる。ただ、株価については「◯◯の株価は?」と質問すると、Siriはその銘柄の情報をダイレクトに表示。しかも、上昇した/下落したことまで答えてくれる。しゃべってコンシェル、音声アシストとも、ここまでダイレクトに答えてはくれない。特定の銘柄の株価をチェックしたい人にはSiriが便利だろう。

 ちょうど開催時期だったので、「オリンピックのニュース」も調べてみた。音声アシストはYahoo! JAPANのロンドンオリンピック特集記事と連携していて、タイムリーな記事とメダル数の合計を表示してくれる。これを始め、音声アシストのニュース検索は基本的にYahoo! JAPANと連携している。しゃべってコンシェルもオリンピック関連のニュースを表示したが、こちらは各種ニュースソースから幅広くピックアップしている。残念ながらSiriでオリンピックのニュースは検索できなかった。

●「近くの◯◯を教えて」とスポット検索

 スポット検索についてはしゃべってコンシェルと音声アシストのみチェックした。GPSをオンにした状態で付近の施設を検索したほか、地域を指定した検索、「ロンドンのレストラン」など海外も検索できるか試してみた。

 音声アシストで「近くの◯◯を教えて」と話しかけてスポット検索を行うと、基本的に「Yahoo!ロコ」を勧められる。また、「◯◯(地域名)のラーメン屋さんを教えて」と聞くと、ラーメンのクチコミサイト「麺通」を参考にするようにと言われ、直接お店がリストアップされることはなかった。海外のスポット検索もまだ対応していないようだ。

 スポット検索が強かったのは、しゃべってコンシェルだ。近くのお店はもちろん、海外のお店も検索できた。飲食店はお店の詳細情報や口コミを確認でき、地図アプリと連携してルート案内にもスムースに移行できる。ただ、銀行や図書館、最寄り駅などの施設は地図で場所と住所、電話番号が表示されるのみ。自分のいる現在地が表示されずナビ機能もないので、近くにあるのは分かっても、そこにどうやって行けばいいかは、初めての場所だと分からないだろう。電話番号から電話をかけることはできるが、地図から任意のナビアプリを起動できる連携機能が欲しいと思った。なお、「エリカガイド」にも検索した近くのスポットが一覧表示され、住所を選ぶと「ドコモ地図ナビ」で表示、ルート案内することは可能。

●話すだけでメールを送信できるのは?

 話し言葉でアラームを設定したり、メールを作成したりなど、アプリを動かすこともできる。特にSiriはそれが得意だ。Siriでメール作成を指示すると、誰に送るのかをSiriが質問。同じ名前の人がいる場合はリストアップし、この中の誰に送るのか、メールの件名はどうするか、本文はどうするか、というように、次々と質問してくる。こちらはそれに答えるだけで送信まで進んでいくので、簡単な用件なら本当に手を使う必要がないほどだ。他に「◯◯さんに電話をかけて」「◯◯時にアラームをセットして」「◯◯をリマインドして」などの命令でアプリを動かすことができる。リマインドはいつするかといったこともSiriが聞いてくれ、まさしくバーチャルな秘書といったところだ。

 しゃべってコンシェルも「◯◯さんにメール」と命令すると送信先を選び出し、「本文をどうしますか」と聞いてくれる。ただ、件名は聞いてくれず、最終的には「作成完了」のボタンをタップしてメールアプリに切り替え、自分で送信ボタンをタップして送ることになる。完全に音声でコントロールしている感覚はないが、入力はラクになる。スケジュールの登録や確認、アラームのセット、メモの作成なども可能だ。また、電話をかけたりカメラを起動したりもできる。

 音声アシストの場合は、アプリを起動することはできるが、それ以上のことはできない。「◯◯さんにメールして」と命令してもメールの作成画面が起動するだけで、あて先に◯◯さんのアドレスが入力されることはなく、メールアプリが起動すると、その後は通常の操作になる。ただ、「◯時にアラームをセットして」と命令すると、決定ボタンを押す必要はあるが、アラームの時刻をきちんと設定してくれた。細かいコントロールはできないが、ワンセグや赤外線、メディアプレーヤーなどの起動には対応しており、アプリ一覧から探して起動するよりは簡単だ。

●いろんな質問をしてみた

 最後に、いろいろな質問や会話をして、どの程度対応してくれるのかを調べてみた。「スマートフォンって何?」「スカイツリーの高さを教えて」「世界で一番高いビルは?」「10日後は何曜日?」「去年プロ野球で優勝したチームは?」「ドコモの社長の名前は?」など、さまざまなタイプの質問をした。

 しゃべってコンシェルは、Wikipediaなどから引用したデータをダイレクトに表示した。ただし、「世界で一番高いビル」の質問の答えがニューヨークのパークロウビルと答えるなど間違いや、「10日後は何曜日?」という質問をエリアガイドで調べてしまうこともあった。それでも、比較的幅広い質問に対応でき、返答も安定感があった。

 音声アシストもかなり健闘しているが、質問を理解できないと、「うまくお答えできません」となってしまったり、なぜかYahoo!ファイナンスで確認できると答えることがあった。ただ、「10日後は何曜日?」という質問に日付、曜日、六曜まできっちり返答するなど、ユニークな能力も持っている。なお、Siriはこの手の質問に直接返答することはなく、常にWeb検索を勧めてきた。

 この他に、「あなたは誰ですか?」「結婚してください」「眠いです」といったような“おしゃべり”もしてみた。この種のやり取りではSiriの気の利いた受け応えが話題になったが、他の2サービスも負けずになかなか面白い返答をしてくれている。強いていえば、しゃべってコンシェルが一番真面目な印象だ。

 一例をあげると、「結婚してください」という発言に対し、Siriは「まあすてき」と言いながら「なにかほかにお手伝いできることはありませんか?」とクールな対応。しゃべってコンシェルには「プロポーズの練習ですね」と、サラッと流されてしまった。音声アシストは「あなたにはもっといい人がいると思います!」と、気遣いを見せつつもきっぱり拒否。これ以外の受け応えも用意されていて、しばらく遊んで楽しめた。

 以上、3つの音声認識アシスタントサービスを試してみたが、それぞれに得手不得手のジャンルがある。3サービスの傾向をまとめてみよう。

 Siriは自ら「バーチャルアシスタントです」と言うように、スケジュールを組んだりメールを口述筆記して送ったりするのが得意な“アメリカ人秘書”といったところ。日本事情に弱いのでWeb検索に頼るところがあり、日本語もたどたどしいが、iPhoneの内蔵アプリとの連携はスムースで素晴らしい。気分転換のおしゃべりにも付き合ってくれて、言葉はたどたどしくても、慣れてくるとそれが好ましく感じられるようになる。日本での生活に慣れてくれば知識も増え、乗り換え案内やエリアガイドもできるようになって、さらに優秀な秘書に成長してくれそうだ。

 しゃべってコンシェルは幅広い知識を持つ“物知り秘書”だ。日本生まれ、日本育ちで日本事情には当然強く、天気予報や乗換案内、エリアガイドが得意。メールの作成やスケジュール管理もそつなくこなすが、仕事の範囲をわきまえて、最後の送信や登録はユーザーに任せてくれる。幅広い知識を活用していろんな質問に答えてくれるが、インターネットで調べたものなので、たまに間違いがあるのはご愛嬌か。3サービスの中ではもっとも安定感を感じた万能秘書だが、さらにパワーアップしそうな予感も。そのうち給料アップを要求されるかもしれない。

 音声アシストは、なんといっても乗り換え案内に強い“鉄道マニア秘書”。経由駅を変えた場合のルートを素早く調べて教えてくれるのに感心した。さまざまな質問にも対応してくれるが、知識の幅広さではしゃべってコンシェルにやや劣る印象だ。ただ、分からないことを「ごめんなさい」と素直に認め、「がんばります」と非常に前向きなので、こちらはそう厳しくは怒れない。しかも、Yahoo!JAPANという大物がバックでサポートしているので、急成長も期待できそうだ。

 3サービスとも自然な言葉を理解する賢い音声認識機能を備えているが、うまく反応してくれない場合は、こちらも質問や命令の言葉を変えると、きちんと対応してくれる場合があった。例えば「◯◯は?」と聞くとWeb検索をうながされるが、「◯◯を教えて」と言うと直接教えてくれる、ということもあった。質問や命令の意図をはっきりさせると、しっかり反応してくれる可能性が高い。

 これらのサービスは、使えば使うほどにサービス側が学習し、データベースが改善されていく。各サービスの得意なジャンルは、「普段使って便利だと思うところ」まで至っていると感じた。これからさらに賢く進化し、将来はSFの中の秘書ロボット――まさに“アンドロイド”のようになってくれることを期待したい。