先輩が「良い人に来てもらった」と言ってくださることがあります。
その言葉を聞くたびに、入ったばかりの頃の自分を思い出します。
今振り返ると、きっと私は生意気な新人だったのだろうなと思います。
それまで積み重ねてきた経験があったので、自分なりのプライドもありました。そのため、言葉の端々に「私は分かっています」という気持ちが出ていたように思います。
当時の私は、製造とお直しでは仕事を見る視点がまったく違うということを理解していませんでした。
洋服店で働いていた頃には、紳士ズボンの裾上げやブラウスの袖丈カットなどをしていた経験があり、「お直しもできる」という自負がありました。
しかし、お直し専門店の仕事は、それだけではありませんでした。
お客様のご要望に合わせて仕上がりを考え、作業時間や難易度を判断し、価格へ反映させる。技術だけでなく、経験と判断力が求められる世界だったのです。
今になってようやく、先輩方が積み重ねてこられた知識や経験の重みが分かるようになりました。
だからこそ、「良い人に来てもらった」という言葉は、とてもありがたく感じます。
未熟だった私を受け入れ、根気強く教えてくださった先輩方への感謝の気持ちを、これからも忘れずにいたいと思います。