先日、素敵なご縁をいただき、一着のジャンバースカートをお仕立てしました。
きっかけは、以前お作りしたバッグを大変気に入ってくださったこと。知人を通じて「ぜひあの方に」とご指名をいただいたのです。
初めてお会いする、80代のお客様
伺っていた条件は、「無地の濃茶」「裏地付き」「前開き」「タイトでスリット入り」という、凛とした佇まいのデザイン。
私は専門学校で洋裁を学んだ経験があるわけではありません。高校の頃に自分の原型から型紙を引く基礎を教わった程度で、普段は既成のパターン通りに縫い上げるのが中心です。
「お客様の体型を見て、その場でスラスラとパターンを引く」…そんな魔法のようなことはできない私ですが、採寸の日、初めてお会いしたその方は、洋裁において非常に難易度が高いと言われる体型をされていました。
猪首(いくび)、なで肩、そして猫背。
後から知ったことですが、こうした体型の方にぴったり合う服を仕立てるのは、プロの方でもとても神経を使う難しいお仕事なのだそうです。
「今の私」にできる最善の方法で
一から完璧な型紙を起こす自信はなくても、喜んでいただきたい一心で、私なりの方法で向き合うことにしました。
【制作のステップ】
- ① まずは基本となる既成のパターンで一着作成する
- ② 実際にご試着いただき、体に馴染まない部分を細かくチェックする
- ③ その場でピンを打ち、ミリ単位で補正を施していく
猫背の方であれば、背中のゆとりをどう逃がすか。なで肩をいかに美しく見せるか…。
一つひとつの工程を丁寧になぞりながら、型紙を修正していきました。
ものづくりの原点に触れて
独学に近い形で洋裁を続けてきた私にとって、今回の制作は大きな試練であり、何よりの学びでした。
既製品をただ縫い上げるだけでは決して出会えなかった、「その人のための一着」を作る難しさと喜び。手探りながらも最後までやり遂げたことは、私にとって大きな自信となりました。
「誰かのために、心を込めて針を動かす」
バッグから始まったこのご縁を大切に、これからも一針一針、丁寧に向き合っていきたいと思います。
