【講義:熊田 貴之】
東京湾臨海部で、水に親しむ空間の創出を目的として、
検見川人工海浜が造成されました。
検見川浜は、図-1に示すように東京最奥部に位置します。
人工海浜の造成は、1977年に開始され1991年に完成しました。
【図-1】
図-2に示すように、人工海浜の両端には、円弧状の曲がった突堤が、
また沖合には砂の流出を防止する潜堤が設置され、
さらに海浜中央には小突堤が設置されています。
海浜の沿岸方向の長さは、1300mです。
【図-2】
写真-1は、1987年の空中写真を示す。
この段階では、突堤先端部の曲部は建設されておらず、
【写真-1】
写真-2は、1993年の空中写真です。曲突堤が完成し、
それに伴って突堤付け根付近の海岸線が前進し、海浜中央部では後退しています。
こうした変化は、曲突堤により波の静かな空間ができたため、
曲突堤間の開口部である波の高い空間から静かな空間に向かって、
砂が沿岸方向に移動したために起こりました。
【写真-2】
写真-3は、1999年の空中写真です。
海岸線の変化が顕著となりました。
海浜中央にあった小さい突堤は撤去され、
海浜中央より北側150mに新たにY字突堤が建設されています。
それに伴い、海岸線はY字突堤の両側のやや離れた場所では後退しました。
【写真-3】
大きな曲突堤が大きな波の静かな空間を作りました。
その結果、曲突堤間の開口部である波の高い空間から静かな空間に向けて、
砂が沿岸方向に移動し、曲突堤付近では砂が堆積し海岸線は前進し、
開口部では砂が侵食し海岸線は後退しました。
こうした海岸線の変化は、大きな防波堤を有する港周辺で多く起こります。
【参考文献】
熊田貴之・小林昭男・宇多高明・芹沢真澄・三波俊郎・星上幸良(2001):
千葉県検見川浜の海浜変形と3次元Hsuモデルによる変化予測,
土木学会海岸工学論文集,第48巻,pp.536-540.



