母が亡くなったのは、あたしが海外生活から帰ってきて1ヶ月後だった。


2年、母の側から離れて、これからは再就職して母の面倒を見ていこうと思っていた矢先のことだった。




親戚や近所の人からも、


「最後くらいなんで母親の側にいてあげなかったんだ!」


とさんざん責められた。




あたしだって母が死ぬような病気なら、海外なんか行かなかった。


まったく予期せぬ死だったのだから、責められる筋合いはないのだけれど、


予期せぬ死だったがために、周りもパニックを起こしていたんだと思う。




母が亡くなって2ヵ月後、再就職した。


生きていく為にはどんなに辛くても生活費を稼がなければならない。


そうしなければ、父も母も満足に供養してやれない。


その一心だった。




だから、働かせてもらえるだけでも本当にありがたい気持ちでいっぱいだった。


文句ばっかり言いながら働いている同僚を見ると、


「金もらって働かせてもらってるんだから、文句言うな!」


と、怒りで震えた。




モクモクと仕事をこなし、人と話す時は笑顔で答えていたけれど、

心のそこから笑えてはいなかったと思う。


仲の良いトモダチが職場にいた。

かれこれ10年以上のつきあい。

一緒に今の会社に入った。

周りからみれば2人で1組みたいな感じ。


ある日、

「なんで昨日来なかったの~~?」

と、同僚に言われた。

なんのことだかさっぱりわからなかった。

でも

「用事があったの。ごめんねぇ」

と、テキトーに話を合わせておいた。


その時はなんとも思わなかったけど、

それから何度も同じことが起こった。

同僚は、トモダチを誘えばあたしも一緒についてくると思っていたらしい。

だけど、トモダチは、気を使ってか(家のごたごたがあるから)

あたしに声をかけなかった。


なんとなく、疎外感を感じた。


あたしは結構早くに両親を亡くした。

高校の時に父親を突然亡くし、それからは一生母親の面倒を見ていくつもりでいた。


それまでは、

「あたしは一人で生きていける」

って自分で思っていた。

母も自分ひとりで面倒見て、二人で仲良く暮らすものだと思っていた。


結構二人は仲がよく、旅行したり食事に行ったり、映画やミュージカルを見に行ったりした。


そんな母親が突然前触れもなく自分の前からいなくなってしまった時、

自分の中で何かが壊れたような気がした。


どちらかというと楽天的なあたしは、まさか自分がそんな状態になるとは思ってもいなかったので、

自分でどう対処したらいいのかわからなかった。


常に、死んで母の側にいくことばかり考える毎日。

やらなければならないことは山積みで、

「人が一人この世からいなくなるっていろんな手続きだのなんだのがこんなにあるんだ・・」と

走り回っている間はまだいいが、夜になると急に消えてしまいたくなる。

目をつぶると目の当たりにした母の最期の顔が頭に浮かんで、

体中が震えて眠れなくなった。


結局、自分で生きていけると思っていたあたしも、

ずいぶんと母に精神的に助けられていたんだと思う。


たぶん、軽い共依存。

依存する相手がいなくなったことでパニックに陥ったんだと思う。

その後、彼氏ができてカレに依存することで少しずつ、母の死に向き合うことができた。


そんな状態でつきあっていて、うまくいくわけもなく1年半ほどでカレとも別れることになった。

その頃にはだいぶ あたしの精神状態も元に戻りつつあった。


あれから 7年、いまだに夢の中の母は生きている。

「あー あれを母と見に行こう」

と、ふと考えて、 あ、母はもういないんだ。と気づくことが年中ある。


母の最期の顔がいまだ消えず、眠れなくなる夜もある。


これはいつになったら、薄れていくのだろう。


この前、柳原可奈子がTVで 亡くなった母親の話をしていた。

「もう母の声も思い出せません」

って。

あたしは今でもまだ鮮明に覚えている。


ムリに忘れることはないと思うけれど、このつらさはいつまで続くのだろう。





ここ20年で5回ほどしか会ったことがないオトコがいる。

初めて会ったのは、友人の家。

その時はとくになんとも思わなかった。


その後、会うのは友人の結婚式の時のみ。


でも、会うたびに

「あーコイツはいいオトコだなぁ」

と、ほのかな恋心。

めちゃくちゃ あたしのタイプ。


昨日、また友人の結婚式で再会。

その友人は2度目の結婚式。

友人の1度目の結婚式の時には、オトコにはもうすでに嫁がいた。


そして2度目の昨日、再会したオトコは2人の子供の父親に。


「う~~~ 淋しい」



再会するまで、そのオトコのことはすっかり忘れてる(名前すら)のに

再会してまた前のように話をしたり、笑いかけられたりするたびに

「あー やっぱりいいオトコだなぁ」

と、思ってしまう。


もともと恋愛体質でないあたしは、

久々のドキドキに、ちょっと新鮮な気分になる。


でも、進展のない恋心は淋しい。

次はいつ会えるのかなぁ?