そろそろ限界かな・・・
そう思った私は、義母に言いました。
「お義母さん。実家に帰らせて頂きたいのですが・・・」
すると義母は、
「ハルちゃんが決めたらいいよ。ハルちゃんならいつでも貰い手があると思うよ」
とボソっと言います。
申し訳ないなという気持ちを抱えたまま、挨拶をして実家に帰りました。
貰い手も何も、私にはその気はサラサラありませんでしたので、少しムっとしたのを覚えています。
それからは、
エマは徐々に笑顔が戻りましたし、私に出ていた体調不良も頻度が下がりました。
毎年、
盆と正月には、前夫の実家に出向き、お仏壇にお供え物をして、エマと二人で手を合わせて帰りました。
そんなことを続けていた2年目だったか、何年目だったか、お盆のことでした。
義父に言われました。
「わし、エマを見ると兄ちゃんを思い出す。ハルちゃん、悪いけどワシはエマを抱いてやれない。顔も見れない」
と。
私はもう、この家に来るべきではないのかなと悩みました。
エマの成長を見せるために足を運んでいましたが、悩みました。
美晴に相談をしました。
美晴は言いました。
「行ってあげたらいいじゃない。お父さんだって、決してエマちゃんのことが嫌いなわけじゃないと思うよ。死んだ息子を思い出して一時的に気持ちがつらくなるだけだと思うよ。ハルがエマちゃんを連れて行っていること自体は、きっと嬉しいはずだよ。でも、それにしてもツライ思いをしたね」
と。
だから、それからも私はエマを連れて義父母を訪ねました。
しかし、亡き夫のお墓自体は、
更にその義父の田舎にあります。
義父母の家にあるのは、お仏壇だけです。
田舎は、とても山の深い深い場所です。
そしてお墓は、田舎の家の敷地の中に位置しているため、無断で行くということが出来ないのです。
それを思うと、墓苑の何と有難いことかと・・・。
いつだったか、
その田舎に連絡を入れて、亡き夫のお墓にエマを連れて参ったことがありました。
その日の夕方に、亡き夫の母親である義母から連絡がありました。
義母はお姑さんとの関係が悪かったこともあり、私が勝手にそうやってお墓に参ったことが気に入らなかったようでした。
「ハルちゃん、あっちの墓に行くときにはあたしにも連絡をくれないと・・・。急にハルちゃんが来びっくりしたってあっちから電話がこっちにかかってきたんだから・・・」
難しいな・・・。
「本当に申し訳ありませんでした」
と謝って、
あれ以来私は亡き夫のお墓に参れずにいます。
前夫が亡くなって5年目の盆に、
義父に言われました。
「ハルちゃん、5年間もよくこんな遠くまでエマを連れてきてくれたね。兄ちゃんはいい嫁さんをもらったのに、すまんな。兄ちゃんの嫁として、よぉ務めてくれたね。もう、いいよ、もうわしらに気を遣わなくていいから。」
この時、はじめて義父母の前で涙を流したかと思います。
そう言って、
エマのために貯めていたのだという現金を、茶封筒に入れて私に差し出すのです。
「これはエマちゃんの今後の養育費にでも・・・そんな大した額じゃないけど・・・」
と義母は言います。
前夫は自死だったことと、生命保険に加入して1年経過してなかったこともあり、
私が頂いた保険金は見舞金の3万円でした。それ以外は何もありません。
迷いましたが有難く頂きました。
エマには、父親のことは話しています。
泣いていましたが、エマが発した言葉はこうです。
「なんでって思うけど、でも、今ママもパパもいるからそれでいい」
エマの素直な気持ちだったと思います。
上記の理由から、私は前夫のお墓にずっと行けていません。
我が家の仏間で、ヒロシのお父さんに手を合わせて、どうかな?と心の中で聞いてみたりしている。
秋川雅史さんが、
お墓の前で泣かないでください、そこに私はいません、眠ってなんかいません、
と言っています。
都合のいい言葉を信じて、
私はいつも節目節目に亡き夫に手を合わせています。
今年もまた、お盆がきますね。