35歳、オサレなパートMさん。

 

今日私が事務所に行くと、社長席の横でMさんが夫にあれやこれやと言われていた。

怒られていたわけではない。

ヒロシイズムの要望を、こんこんとMさんに話しているのだ。

 

 

「ここの数字はこうやって出してほしい。これじゃあ前月比がわからない。もっと工夫出来ないのか」

 

 

 

夫は、

あくまでも1つの目的を中心としてそこに向かって動く習性がある。

日常生活のすべてがそうだ。

そこに当てはまらない行動をするのは、私との夜の生活の時だけだ。

 

 

 

それにしても、喋り方が威圧的なので、

パートさんも話を聞きながら困惑しているのが見て取れる。

5月に入って来てくださったパートさんが一人で抱えるにはちょっと困難だろう。

 

 

(私) 「えっとだから、数字が目に見えて、分かればいいのだと思います。そうだよね?社長?」

 

(夫) 「おぉ。そうそう。」

 

(私) 「ということはぁ。◆今年度予算◆当月申請額◆施工済だけどまだ受付簿に載っていない額◆そして残金。をExcelで表にしたらいいかと思うんですが、Mさん表、作れそうですか?」

 

(Mさん) 「表だけは作れるんですけど、関数が出来ません」

 

(私) 「分かりました。じゃあ関数は私が入れますね。それでちょっとやってみましょ」

 

解決です。

 

気難しい夫に、嫌な顔一つしないで、頑張ってくださっているMさんを見ると、

 

どうしてもこうしても力になりたいと思います。

 

 

 

 

 

 

夫が事務所から出て行ったとき、

パートさんと二人きりになりました。

 

 

 

「あまり社長の言葉に振り回されないでくださいね^^目的さえ提示していけば、あとは何も言いませんから。私もその都度サポートしていきますので^^」

 

 

そう言うとMさんは、

 

 

 

「実はうちの旦那も、ビルのメンテナンス会社の社長をしてるんです・・・。ちょっとだけ社長さんと似てるなって思うところもあって・・・。」

 

 

やはりそうだったか。

(乗っている車がなかなかいい車で、バージョンも最新の最高のものだったので・・・。)

耳を紅潮させながら語ってくださった。

目を見ると、綺麗に引かれたアイラインの内側がキラリとしている。

涙目になってる。

そっかぁ・・・

こんなに可愛くて、こんなにおとなしそうで、こんなにも素敵な奥さんだと感じていた彼女にも、

人には言えない苦労があるんだなぁ・・・

 

 

 

そう思うと、

その苦労のはけ口になってもいいと思った。

私図太いもんで・・・。(笑)

 

 

 

「うちの旦那も、ハルさんの社長さんみたいに、“離れ”みたいな場所が欲しいって言ってるんですよね・・・」

 

 

 

ヒロシには離れというか、自宅とは別に仮住まいがある。

私はそこをヒロシの城と呼んでいる。

 

 

 

 

 

まぁ・・・

社長っていうのはもうそんなもんだわな。

家族なんてオプションに過ぎないのかもしれない。

 

 

Mさんの心の澱(おり)を、綺麗に汲み取ることは不可能だけど・・・

 

 

 

 

「そうですね~・・・うちもいろいろありました。でも、家族が大事だから頑張りたいんだと思いますよ。結局、そこに尽きると思います。例え言葉でそう言ってくれなくても。適当に頑張りましょうね!」

 

 

 

と言うと、

Mさんは私にバレないようにそっと親指で涙をぬぐっておられた。

 

 

 

 

大丈夫。

きっと大丈夫。

お人柄がいいから。

可愛い御方だなぁと思いながら見ていた。

安易にものを言いすぎちゃったかな・・・反省。